種族統一パにおけるポケモンの戦い方の考察
ドータクン&ゲッコウガ統一パ シャンタ
1.背景
種族統一パは1種類のポケモンのみでパーティを組むため,苦手な相手に対して別のポケモンを使うことはできず,対策をしておかなければ一方的にやられてしまうことになる.本論文では,種族統一大会で実際に使用したポケモンの戦い方と戦術を述べる.
2.種族統一パにおいて強いポケモン
1種類のポケモンしか使えない関係上,弱点に一貫性があり,ガブリアスなどの強いポケモンでも,氷技を使えるポケモンには倒されてしまう可能性が高い.
種族統一において強いポケモンの特徴は,1つ目は技の範囲が広く,物理・特殊共に高火力なポケモンで,ボーマンダやカイリュー,ゲッコウガなどが挙げられる.2つ目は受けられる範囲が広く,弱点を突かれにくいポケモンで,シビルドンや第5世代でのドータクンなどである.また,素早さも重要であり,相手より先に行動できるだけで苦手な相手にもうまく立ち回ることができるようになることもあるため,「おいかぜ」や「トリックルーム」を使えるポケモンも非常に強力である.
3.種族統一パでのアイテム対策
種族統一においては,「きあいのタスキ」,「こだわりスカーフ」の使い方と,使われたときの対策が重要になると私は考える.
こだわりアイテムは,一貫性のある種族統一において全抜きを狙えるアイテムであり,中でも「こだわりスカーフ」は素早さの関係を崩すことができるため非常に重要度が高い.こだわりアイテム対策には「かなしばり」や「いちゃもん」などが考えられるが,耐久が高いポケモンでなければダメージレースで負けてしまうため,耐久の低いポケモンは,半減実や「きあいのタスキ」を使い,耐えつつ突破するか,こちらもこだわりアイテムを用いて突破する方法をオススメする.
「きあいのタスキ」対策には「ステルスロック」が無効化されないため一番効果的である.また,浮いている相手には無効であるが「まきびし」,同じく浮いている相手に加え鋼タイプと毒タイプに無効の「どくびし」なども「ステルスロック」を覚えないポケモンでは持っておいて損のない技であるといえる.
4.第5世代と第6世代での環境変化
私が種族統一大会に参加したのは,2013年8月に行われた,きぃ様主催BW2での大会と,2015年2月に行われた,きぃ様主催のORASでの大会の2回である.BW2は第5世代であり,フェアリータイプの追加や鋼タイプの耐性減少が行われていなかった.また,大会のルールとしてレベル50を超えるポケモンは参加不可能であったため,サザンドラやマルスケカイリューなどがいない環境であった.ORASは第6世代の環境となり,新しいポケモンや技の追加,技の威力の変更などが行われていた.それぞれの世代でのポケモンの選択と戦い方について以下に述べる.
5.BW2での戦い方
使用したポケモン
まず私が使用したポケモンはドータクンで,大会の形式はトーナメントであった.相手のポケモンは何を出してくるか分からなかったため,当時メジャーであったポケモンと種族統一において強いポケモンの対策を行った6匹で挑んだ.
使用した型と戦い方
ドータクンは特性上,弱点の炎と地面を軽減または無効にできるため,相手に合わせてどちらを使うかを決める.特殊が強い相手に対しては「だいもんじ」などの炎技を受けられるように「たいねつ」にし,物理が強い相手対しては「じしん」などの地面技が強力なため「ふゆう」を選ぶ,といった感じである.
先発は「ひかりのかべ」を使用する「たいねつ」の特殊受けと,「リフレクター」を使用する「ふゆう」の物理受けのどちらかである.相手が物理に強いか特殊に強いかでどちらを使うかを決め,耐久を上げるために壁を張る.その後,「トリックルーム」を使用し,「だいばくはつ」で退場する.余裕があれば最初に「ステルスロック」を使用して,「きあいのタスキ」対策を行う.これは,「ひかりのかべ」「リフレクター」によって受けるダメージを減らし,「トリックルーム」で相手より先に攻撃を行うことによってダメージレースで優位に立つ戦術である.
残りの4匹は,「こだわりはちまき」を持たせた物理型と,「たべのこし」を持たせた「めいそう」を使う特殊型,「じゅうりょく」を使用する物理型,「どくどく」「ねむる」を使用する耐久型である.
反省と考察
この戦術において苦手とする相手は,「じしん」と「だいもんじ」を使用できる両刀アタッカーであるボーマンダと,輝石ポリゴン2などの高耐久で回復技を使用できるポケモンである.前者は決勝戦で,後者は3回戦で対戦した.
輝石ポリゴン2は「めいそう」を積み,急所にあてることでようやく倒すことができた相手であり,相性上有利であるにも関わらず苦戦を強いられた.
ボーマンダは先発が眼鏡アタッカーであり,「だいもんじ」をかわすことができたため,場を整えることができ,氷の「めざめるパワー」で弱点を突いて倒すことができた.
どちらも運が非常に絡んでくる戦いだったため,もう少し安定させる戦術を研究する必要があると感じた.
6.ORASでの戦い方
使用したポケモン
第6世代となり,使用できるポケモンが増加した中で,私が選択したのはゲッコウガである.理由は6世代で一番多く孵化をしていたため,育成用の個体が揃っていたことと,「へんげんじざい」によりタイプ一致で相手の弱点を突くことができ,ORASで追加された教え技により,技範囲がかなり広がったことと,大会のルールがリーグ戦となり,相手の使用するポケモンが判明していたところにある.
ゲッコウガは素早さの種族値が122と非常に早く,先手を取り弱点をタイプ一致で突くことで相手を動かすことなく倒すことができる.また,「ちょうはつ」などの補助技も優秀なものが揃っており,単純な耐久型にも強く立ち回ることができる.もちろん弱点はあり,元々の攻撃と特攻の種族値がそこまで高くないため,弱点を付けない相手に対しては火力不足となってしまう.また,耐久も低く,格闘タイプの先制技を受けてしまうと,何もできずにやられてしまうこともある.しかし,その点を踏まえてもゲッコウガは強く,大会では6戦5勝1敗と総合2位の成績を収めた.
使用した型と戦い方
使用したゲッコウガは物理型3体,特殊型2体,両刀型2体の合計7匹で,今回の大会では素早さ種族値が80以下のポケモンが多く参加していたため,素早さ無補正の個体は28振りで最速80属抜き調整とした.
技と持ち物は相手によって変更していたため,決まった形はないが,基本的に「こだわりスカーフ」とゲッコウガより速いプテラやクロバットの対策に「こだわりスカーフ」は3匹のうち誰かに必ず持たせた.
基本的な戦術は,「まきびし」を使用して相手の「きあいのタスキ」対策を行い,相手の弱点を突いて上から殴るといったものである.耐久の低い相手は「きあいのタスキ」と「こだわりスカーフ」で逆転を狙うことが多いため,まずは「きあいのタスキ」を潰し,残りをこちらの「こだわりスカーフ」持ちで全抜きする戦法である.逆に,耐久の高い相手は補助技を使ってくることが多いため,「みがわり」と「ちょうはつ」を使用して動きを止めながら殴る戦法に切り替える.この戦法で苦手なのは「いたずらごころ」を持ち,弱点を突きにくいクレッフィである.素早さに関係なく強制的に運ゲーを強いられ,両壁を使用できるため非常に厄介な存在といえる.今回の大会参加者にはいなかったが,ゲッコウガ統一に限らず対策必須のポケモンである.
反省と考察
今回の大会で唯一負けた相手はベトベトンである.
敗因は,エスパータイプとなった後の「かげうち」対策に「まもる」を入れようとしたが,ORASで技マシンを揃えていなかったために技を変更することができなかったためである.なおかつ,補助型が来ると読んでいたところに3匹全員アタッカー型で来られたため,対応しきれなかったことも敗因である.攻撃をかわすなど運に恵まれた点もあったが,結局,プレイングミスがひびき,負けてしまった.
7.まとめ
種族統一パにおける素早さの重要性や強いポケモン,持ち物の対策を述べた.また,実際に参加した2つの大会について反省と考察を行い,課題点を表した.
ポケモンを休止していた期間が長く,過去に調整したときのメモをなくしてしまっていたため,間違えていたり勘違いしている部分があるかもしれないが,少しでも種族統一パに興味を持ってもらったり,参考にしていただけると幸いである.