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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

マッギョ統一パにおける考察と型紹介

マッギョ統一パ レイ

1.導入

マッギョはNDSソフト「ポケットモンスターブラック・ホワイト(以下,BW)」より登場したポケモンである.現環境N3DSソフト「オメガルビー・アルファサファイア(以下,ORAS)」の全国図鑑ナンバーは618,トラップポケモンに分類される.

マッギョは「じめん・でんき」複合タイプであり,このタイプを持つポケモンはマッギョのみである.アニポケBW編においてデントの手持ちとして登場することがよく知られている.その面妖な姿からマスコットとしての人気は高く,ぬいぐるみ,スリッパ,クッションなどグッズ展開は多岐にわたる.また,ポケモン対戦においても,一部のマッギャーと呼ばれる愛好家を筆頭に使用者は一定数存在し,BWランダムフリー対戦環境においては目にすることが少なくなかった.しかしながら,6世代以降その勢いは落ち着き,考察が行われる機会も減少した.

今回,現環境の種族統一パにおけるマッギョの考察とともに,著者の対戦経験を元にした感想と型紹介を本論文にまとめる.

2.考察

2-1. 種族値

H109, A66, B84, C81, D99, S32 合計471

マッギョは比較的高い耐久をもつ鈍足のポケモンであり,アタッカーにもなり得る特攻も備えている.

HPは高水準であり,BとDの調整が生きることが多い.物理耐久はH252B36(実数値216-109)に振るだけで,「補正有りA252メガガルーラのすてみタックル」,「補正有りA252メガルカリオのインファイト」を確定で耐える.特殊耐久ではH132(実数値201)振りで「補正有りC252ギルガルドのシャドーボール」を確定3発に抑える.仮想敵を見据えた努力値振りをした場合に,特化せずとも目的の耐久を得られ,他に努力値を回せることはマッギョの強みの一つであると考えられる.

一般的に受け+補助的な役割を持つことが多いマッギョであるが,種族統一パにおいてはアタッカーとしての運用も考える必要がある.マッギョの特攻はC100(実数値114)振りで「H252ブレードフォルムギルガルド」を「だいちのちから」で確定1発で倒すことができる.また,補正をかけC188振り(実数値137)「こだわりメガネ めざめるパワー氷」で,耐久無振りメガボーマンダを確定1発,同条件「10まんボルト」で確定2発をとることができる.

攻撃種族値は66であり,比較的低い.しかしながら,統一パにおいては物理型が必要であり,必要最低限の攻撃力を備える.また,マッギョの技の豊富さから物理型は十分に考えられ,これについては後述する.

すばやさは32族であり,補正無し無振りで(実数値52),最遅ギルガルド(実数値58)に後攻をとる,すなわち,ブレードフォルムギルガルドに攻撃をしかけることができる.S調整をするのであれば,バクーダがいる40族抜きを意識したS68振りを推奨したい.統一界隈でしばしば目にする,トリトドン,ミノマダム,ヌオーなども抜き去ることができる.また,マッギョのすばやさを考える際に,相手が「まひ状態」であることを想定するケースがある.その場合,無振りであれば最速135 族まで抜くことが可能である.

2-2. 特性

通常特性は2種類で「じゅうなん」と「せいでんき」である.XY以降,でんきタイプは麻痺状態にならないため,「じゅうなん」の発動機会はマッギョが「みずびたし」を受けた上で麻痺状態になる際に限られる.よって,「じゅうなん」を採用する価値はほぼないと考えられる.

「せいでんき」はマッギョと極めて相性の良い特性である.例えば,HBに特化し「ゴツゴツメット」を持たせたマッギョを物理接触攻撃に受け出しすることで,30%の確率で麻痺を狙いつつゴツメダメージを稼ぐことができる.また,メガガルーラの「ねこだまし」に対して,マッギョを受け出しすれば「ゴツゴツメット」2回,「せいでんき」発動2回のチャンスを得ることができる.

一方,隠れ特性である「すながくれ」は砂あらし状態限定ならば回避率を上げることができる.一般的には砂パに組まれる場合に採用の余地があるが,種族統一パでは,対バンギラス戦において「せいでんき」よりも有用である可能性が示唆されている.また,「ねっとう」を採用してやけどを狙う際には,「せいでんき」の発動が邪魔になるケースがあるため,他特性の採用の余地があるものと考えられた.

2-3. 有用な技

特殊技

タイプ一致技では「かみなり」「10万ボルト」「だいちのちから」で安定した威力を叩き出す.「だいちのちから」はタマゴ技であるが,ORASの教え技を用いれば遺伝のし忘れにも対応できる.「ほうでん」は追加効果30%で麻痺を狙うことが可能で,特性「せいでんき」と合わせることで高確率で相手をまひ状態にすることができる.「どろかけ」「どろばくだん」は共に命中率ダウンの追加効果を持つが威力に期待はできない.「エレキネット」は相手の素早さを1段階下げることができるが,マッギョで有用に働くケースが少ないため「ほうでん」の採用が有用であると言える.

サブウェポンは「ヘドロウェーブ」「ヘドロばくだん」から毒技を,「なみのり」「だくりゅう」「ねっとう」から水技を選択できる.「めざめるパワー」はマッギョが覚えることのできない氷,草,炎,から選択したい.採用率が高いのは「めざめるパワー氷」であるが,仮想敵を見据えて育成すべきであると考えている.

物理技

一般的にマッギョは特殊型の育成が多いが,物理技は豊富である.タイプ一致技では,選択肢は少なく,「じしん」は物理技の主力となるが,「スパーク」は威力も低いためサブウェポンとして考えるべきである.「じわれ」は耐久型を相手にする際や,最後のワンチャンスに頼りたくなる場面で使っていきたい.

マッギョの物理サブウェポンはタイプが比較的多く,種族統一対戦においては相手の弱点をつける場面が増えるため有用であると考えられる.「ストーンエッジ」は,4倍弱点相手への採用はあり得るが,飛行タイプへの打点は電気技,炎タイプには地面技の採用で事足りるケースは多い.ただし,ヒートロトムに対しては,ストーンエッジの採用は最有力候補である.「とびはねる」は飛行4倍弱点を相手にする際に採用したい.「リベンジ」は耐久のあるマッギョとは相性も良い技で,バンギラスに対しては積極的に採用したい技である.「イカサマ」は非常に使い勝手がよく,相手の攻撃力に依存するため,特殊型や補助型で採用できる点が優秀である.また,「いばる」との組み合わせは不利な相手への打開策となりうる.

補助技

「でんじは」の採用は,直接攻撃を多用する相手に対しては,特性「せいでんき」によってすでに麻痺しているというケースを想定した場合,採用を見送ることも考えられる.教え技の「ステルスロック」は岩弱点を持つ種族との対戦では特に有利に戦闘を進めることができる.「こらえる」はマッギョの特性「せいでんき」と合わせる事で麻痺の発動を粘ったり,「ゴツゴツメット」と合わせることでダメージを稼ぐなど,接触攻撃相手には極めて有効と考えられる.

マッギョの補助技は,特にタマゴ技に有用なものが多い.「あくび」は組み合わせて使う技によって立ち回りに幅が出る技である.「まもる」を用いると,相手が引かなかった場合に眠り状態を誘発できる.「がむしゃら」はダメージを大きく受けている場合,交代先に大きな負担をかけることができる.ただし,いずれも読みが必要で確実性は薄いため注意が必要である.「いたみわけ」は使いやすく,自分の確定数をずらしつつ,相手のHPを減らすことも可能となる.

第6世代より追加されたタマゴ技は3つある.「かいでんぱ」は相手の特攻を2段階下げる強力な補助技で,「いたみわけ」との相性が良い.「さきどり」は足の遅いマッギョにとって,相手を麻痺させた場合を想定するケースがほとんどで,有効となるケースをしっかり考える必要がある.「ミラータイプ」は特定の相手に対して威力を発揮するケースが有る.例えば,対ナットレイ統一を想定した場合,マッギョが先制で「ミラータイプ」を用いれば,本来不利なタイプ相性のはずが非常に有利な状態で戦いを進めることが可能となる.

3.型紹介

本項ではこれまでの考察を元に,統一パとの対戦において有効と考えられる型を紹介する.また,特定の種族統一との対戦を強く意識した型も本項に含まれる.

3-1. 汎用型

ゴツメこらえる型

性格 特性 持ち物 努力値
ずぶとい せいでんき ゴツゴツメット HBベース
技構成  
10まんボルト だいちのちから
いたみわけ こらえる

 汎用性のある物理受けマッギョの型として,最も代表的であると考えられる.「10まんボルト」と「だいちのちから」は一致技として2種採用しているが,戦う相手が既知の場合,適宜変更すると良い.「いたみわけ」は確定数をずらす他,交換先に負担をかける安定の技でもある.この型は直接攻撃主流の相手には非常に有効で,「せいでんき」の発動と「ゴツゴツメット」発動機会を増やす「こらえる」も面白い使い方ができる.しかしながら,種族統一戦において初手で素直に直接攻撃型が出てくるとは限らないため,そこには注意したい.また,「じしん」を持っている相手には弱いのが欠点である.

こだわりメガネ型

性格 特性 持ち物 努力値
ひかえめ せいでんき こだわりメガネ HCベース
技構成  
10まんボルト だいちのちから
めざめるパワー ヘドロウェーブ

マッギョもメガネをかけると決して侮れない火力が出る.「10まんボルト」は場合によっては「かみなり」への変更も検討すべきである.じめん・ひこう複合タイプには「めざめるパワー氷」の採用が必要になる.サブウェポンとしては電気,地面を半減する草への高打点となる「ヘドロウェーブ」を推奨する.また,こだわりメガネを持たせることでH252ニンフィアを確定2発に収めることができる.補正有C252ハイパーボイスは乱数2発となるので,Dに少し努力値割くのも有効と考える.マッギョは基本的に後手に回ることを考慮し,耐久と火力のバランスをとることが極めて重要である.そのため仮想敵との入念なダメージ計算を行い,努力値振りを検討すべきである.

汎用物理型

性格 特性 持ち物 努力値
いじっぱり せいでんき こだわりハチマキ HAベース
技構成  
じしん リベンジ
ストーンエッジ しっぺがえし

汎用性の高い物理技を採用し,ハチマキで火力を補う物理型.多くのポケモンの弱点を突くことができる.マッギョの物理型を真っ先に疑うことは少ないので試合展開が有利に進む可能性が高くなる.仮想敵がいる場合,耐久に努力値を回すことも検討したい.

ねむねご地割れ型

性格 特性 持ち物 努力値
B or D補正 せいでんき オボンのみ HBD
技構成  
じわれ のろい
ねむる ねごと

マッギョは火力の高いポケモンではないため,耐久型のポケモンに積み技を使われると,そのままやられてしまうケースが少なくない.そのため,「じわれ」により相手が積み終わる前に一撃必殺を狙う.努力値をD寄りに振っておき,「のろい」で物理耐久をあげるということも可能である.

3-2. 不利対面型

ここに記載する型は極端に不利な相手に対してやむなく抵抗する為に必要なものを記載する.

でんじはいばイカ型

性格 特性 持ち物 努力値
ずぶとい せいでんき オボン,半減実,きあいのタスキ等 HBD
技構成  
でんじは いばる
イカサマ みがわり

この型は圧倒的不利な相手への活路を見出す意味で採用を考えたい.どんな相手にもこの型のマッギョで挑むことは避けるべきである.特にフレ戦,知人との対戦においては,信頼関係を崩しかねないので注意したい.また,マッギョは補助技を読まれやすいポケモンであるため相手の初手みがわりを見極める力も必要となる.

タスキ型

性格 特性 持ち物 努力値
ひかえめ せいでんき きあいのタスキ HA
技構成  
10まんボルト ヘドロウェーブ
じわれ なみのり

未知の統一パと戦う際に,高火力で弱点を突かれ,何もできず対戦が終わってしまうことも珍しくないため,惨敗を回避するためにタスキ型を入れることは有用である.今回はマッギョの弱点である,水,草,地面,を想定した技構成としている.これらのタイプに為すすべなくやられる前に,1体でも倒す,という気概でこのマッギョをぶつけていきたい.とどめを刺しきれない場合は後続の「せんせいのツメ」や「こだわりスカーフ」を採用したマッギョに全てを託す.すぐ「じわれ」に逃げてしまわないよう戦略を立てたい.

3-3. 対○○統一型

ここでは特定の種族統一との対戦を有利に行う為の限定的な型を記載する.

対ナットレイ型

性格 特性 持ち物 努力値
ずぶとい せいでんき オボンのみ H4 B252 S252
技構成  
ミラータイプ みがわり
めざめるパワー炎 任意

対ナットレイ最終兵器である.「ミラータイプ」で草・鋼タイプを得ることで「やどりぎのタネ」,「どくどく」を無効化.また,相手の最速を意識し,こちらは準速になるよう努力値を振る.スカーフナットレイの「パワーウィップ」確定耐えのB振りを推奨,「タネマシンガン」対策に持ち物はオボン.ミラータイプ読み,めざ炎ナットレイの存在には留意したい.

4.実際の対戦経験の感想

4-1. 心構え

種族統一対戦は,対戦相手が既知か未知かによって立てられる対策が大きく変わってくる.今回の型紹介においては3-1,3-2の項目で紹介した型は,相手が未知であることを想定している.そのため,技の範囲はできるだけ広く対応できるように考察を行った.対戦相手が既知である際は,これらの型にアレンジを加えカスタマイズを行って欲しい.

大会などでは予め対戦相手がわかっているケースが多く,相手に合わせて技のカスタマイズなどは容易であろう.しかしながら,こちらが相手に対策を行っているということは,相手も対策を講じているということである.その点は油断をしないよう対戦を行いたい.また,伝説ポケモン統一との対戦など,圧倒的不利,かつ通常ではあり得ない光景を目の当たりにできることも種族統一対戦の大きな魅力である.そういった際には,せめて1匹でも相手を倒す覚悟で対戦に臨むべきである.

4-2. 実際の対戦の例

著者のマッギョ統一での対戦経験は少ないが,記憶に強く残っているものとしてジュカイン統一との対戦がある.第5世代当時の話である.

ジュカイン統一との対戦において,まず感じたことは,メガネリーフストーム,ハチマキリーフブレードで上から殴られているだけで負けるのでは?ということであった.

何もできず惨敗することだけは避けようと一矢報いるために策を練った結果,「リンドのみ」,「きあいのタスキ」,「せんせいのツメ」を持たせたマッギョを用いることにした.また,ジュカインに対してのメインウェポンには「ヘドロばくだん」を用いた.

「じわれ」に頼ろうとは思わなかった.実戦では初手に「みがわり」をされ,ここで「じわれ」に頼っていた場合,1ターンを無駄にすることとなっていた.このジュカインは「みがわりしんりょく」からの「リーフストーム」型で,「リンドのみ」によってマッギョはその攻撃を耐えたのである.

この試合は結局負けてしまったが,マッギョが「しんりょくリーフストーム」を耐えるという事実を初めて知ることとなった.また,「じわれ」という技は当たれば非常に強力であるが,「みがわり」によって簡単に阻止されてしまうため,いくら不利な相手でも頼りすぎることはよくないと気付かされた.

このように種族統一対戦は通常のランダム対戦にはないものを得られる可能性が高い.未経験者にはぜひこれらを味わってほしいと思う.

5.おわりに

今回,マッギョ統一についての考察を行ったが,これらはマッギョの可能性のほんの一部に過ぎない.取り上げきれなかった技や,持ち物の組みあわせはまだ多く考えられる.特に,種族統一同士の対戦においては,通常では考えられないような型が有用となるケースは十分に考えられる.

著者自身の種族統一対戦の経験が少ないため,机上の考察になっている部分もあるため,今後は実戦での経験を少しずつ増やし,より良い考察をしたいと考えている.また,第6世代におけるマッギャーが一定数存在することはポケモングローバルリンク (PGL)から確認できるため,ここで得られた各ルールにおけるマッギョの情報を元に,新たな考察を行いたいとも考えている.