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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

マニューラ統一パから見る種族統一パのパーティ構築

マニューラ統一パ wroot

1.はじめに

通常のランダム対戦では,6匹のポケモンで,それぞれの弱点が補完されているパーティを構築して対戦に臨む.しかし,1種類のポケモンのみでパーティを構築する種族統一パでは,相性補完を行うのは容易ではない.そのため,使用するポケモンの特徴をよく理解したうえで,特性や技構成,努力値振り等を決めることが重要になり,普通の対戦では使用されない型を考えることも必要になる.また,ポケモンによってタイプも種族値も全く異なるので,種族統一パの組み方もそれぞれのポケモンで大きく違ってくる.それゆえ,参考になる資料が少なく,パーティを構築することが難しい.そこで,1つの参考資料とするために,筆者の使用しているマニューラ統一を元に,種族統一パのパーティの組み方や立ち回りについて考察を行う.

2.マニューラの特徴とパーティ構築

マニューラは高い攻撃と素早さ種族値を持つが,条件なしで使える一致物理技の威力が比較的低いため,打ち合いになると負けることが多い.また,メジャーな「かくとう」タイプが4倍弱点であり,物理耐久も低いので,相手の攻撃を耐えることも難しい.そのため,相手より早く動けることに重点をおいたパーティ構築を行う.

実際に使用しているマニューラの型を以下に示すが,特性については,「プレッシャー」の特性表示で素早さの優劣が分かる可能性があることや「わるいてぐせ」が発動すると「はたきおとす」の威力が下がることがある等の理由から,全ての個体で「プレッシャー」を採用している.

(1) まもる・みがわりプレッシャー型

性格 努力値 持ち物
おくびょう HS252 C4 たべのこし
技構成  
うずしお ちょうはつ
みがわり まもる

マニューラは高速物理アタッカーなので,素早さを逆転されたり,物理技の通りが悪くなったりすると形勢が一気に不利になる.そのため,相手は初手で「おにび」や「トリックルーム」を使用する耐久型のポケモンを選出してくることが多い.これらの技に「みがわり」を合わせることで優位に立つことを目的にした型である.「うずしお」と「ちょうはつ」で相手の行動を制限してPPを削り,後続のマニューラに繋ぐ.

(2) こだわりスカーフ型

性格 努力値 持ち物
ようき AS252 D4 こだわりスカーフ
技構成  
れいとうパンチ はたきおとす
ばくれつパンチ すてみタックル

相手の「こだわりスカーフ」持ちのポケモンに対抗するための型で,素早さ種族値80までのポケモンには,「おいかぜ」などが発動していても先手を取ることができる.マニューラは非伝説ポケモンで最速の「ばくれつパンチ」使いであり,一致技と併せて広い範囲に有効打を持つことができる.また,「すてみタックル」は「こおり」等倍の相手には「れいとうパンチ」よりも高い威力が出せる.

(3) 特殊型

性格 努力値 持ち物
ひかえめ CS248 D12 こだわりメガネ
技構成  
ふぶき あくのはどう
めざめるパワー炎 きあいだま

特殊種族値は45と低いが,威力の高い技があり,防御に努力値を振ったポケモンに対して有利に立ち回れる.また,「おにび」や「あまえる」を無駄打ちさせ,行動回数を稼ぐ効果が期待できる.

(4)きあいのタスキ型

性格 努力値 持ち物
いじっぱり AS252 D4 きあいのタスキ
技構成  
ゆきなだれ はたきおとす
けたぐり こおりのつぶて

「ゆきなだれ」は相手からダメージを受けると威力120になる後攻技で「きあいのタスキ」と相性が良く,弱点を突けない相手への火力不足を解消することができる.また,「こおりのつぶて」は「ゆきなだれ」との相性が良く,「こおり」が弱点の相手には十分な火力が望める.

(5) 対サポート技型

性格 努力値 持ち物
いじっぱり AS252 D4 するどいツメ
技構成  
つじぎり かわらわり
どくづき ねこだまし

相手の「おいかぜ」や「トリックルーム」,「にほんばれ」等の天候変化技が発動しているときに,「ねこだまし」を使い,時間稼ぎを行う.「かわらわり」で「リフレクター」を壊すこともできる.「きあいのタスキ」を持っていないことが相手にばれると不利になるので,「いのちのたま」ではなく「するどいツメ」を持たせている.

(6) 積みアタッカー型

性格 努力値 持ち物
ようき HS252 A4 ひかりのこな
技構成  
つじぎり こおりのつぶて
つるぎのまい みがわり

他のマニューラの「プレッシャー」で相手のPPを削った後,「つるぎのまい」を積んで火力を確保する.PPの多い一致技を採用することで持久戦にも強くなっている.

(7) パーティ運用

基本的に相手の攻撃を受けきるのは難しいので,1体のマニューラにつき相手を1体倒す,1対1交換を狙う.相手より1回でも多く行動することが勝利に繋がるので,先発するマニューラの選択が重要になる.相手が初手に出してくるポケモンは,物理受けか高速特殊アタッカーが多いので,相手のパーティを見てどちらが出てくるか判断し,対策できるマニューラを選出する.

3.実戦例

参考までに第5世代での種族統一パとの戦いと対戦結果の考察を以下に挙げる.

(1) 対ラティオス

「きあいのタスキ」で「こだわりスカーフ」持ちラティオスの攻撃を耐えて一体倒し,数で優位に立つが,次のラティオスに「おいかぜ」を撃たれて状況が一変した.その後は,「げきりん」により押し切られ,敗戦となった.

「こだわりスカーフ」に気を取られ,ラティオスの「おいかぜ」を想定していなかった.そのため,先発したマニューラ以外は「こおりのつぶて」を搭載しておらず,それが,「おいかぜ」からの「げきりん」で押し切られる原因を作ってしまった.

(2) 対イルミーゼ

イルミーゼの「あまえる」に対して「あくのはどう」を撃ち,優位に立つ.その後は,「つきのひかり」で粘られるものの何とか相手の先発を倒し,そのまま数で押し切り勝利した.

イルミーゼは特性「いたずらごころ」により,変化技を先制して使用することができる.「あまえる」や「アンコール」を覚えるので特殊型を先発にしたことが功を奏した.

(3) 対シャンデラ

互いに一致技で弱点をつけるため,「きあいのタスキ」と「こだわりスカーフ」をいかに合わせるかを意識していたが,シャンデラの「トリックルーム」で思惑が外れてしまう.「トリックルーム」が切れるまで粘ったが,最終的に特性「ほのおのからだ」と「とける」,「ねむる」により受けきられて敗戦となった.

シャンデラに「こだわりスカーフ」で先手を取られる可能性があるので,初手で補助技を撃つことができず,相手に「トリックルーム」の発動を許してしまった.また,シャンデラは「ねこだまし」が無効なので時間を稼ぐことができず,「トリックルーム」の影響が大きくなったのも敗因となった.

4.まとめ

種族統一パは1種類のポケモンのみでパーティを構築するため,対戦相手に弱点をつかれることも多い.しかし,それゆえに相手の選出や行動を限定することができ,相手の行動を読んで,有利に立ち回ることも難しくない.そのため,使用するポケモンの特徴をよく理解して,相手がどんな動きをしてくるか予測し,それに合わせてパーティを構築することが種族統一パでは重要である.