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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

ミノマダム統一における要注意ポケモンへの対策

ミノマダム統一パ ぐんそー

1.はじめに

種族統一パを使用した対戦では,相性が悪いポケモンに対して,無理やり対処しなければならない場面に多々遭遇する.本稿では,ミノマダム統一パーティを使用した際に,対処に困るポケモンへの対策方法について,極めてピンポイントな考察を行う.

また,対戦環境として,PSSを使用した野良戦[1]でのパーティ運用を想定し,ミノマダム統一パVS普通パでの対策について考察する.さらに,相手のパーティは,ポケモンの重複が無いことを前提としている.

本稿では,特に対策が必要なポケモンであるクレッフィ,ファイアロー,マリルリ,ボーマンダについての対策を紹介する.いづれも,第六世代になってから脅威が増したポケモンであり,新しい環境を生き抜くために対策が必須となるポケモンである.

2.対クレッフィ

対策理由

クレッフィはミノマダム統一パ,と言うよりはむしろ,PSSを使用した野良戦にとって最大の敵である.先日,PSSで対戦をした際に現れた「いばる」「みがわり」「イカサマ」「でんじは」を覚えたクレッフィに手も足も出ず敗北した際に,この事実は明らかとなった.鋼・フェアリーの複合タイプは「すなちのミノ」以外のフォルムでは対処するのが難しいが,頼みの綱の「すなちのミノ」が「いばる」「みがわり」からの「イカサマ」であっけなく倒されてしまったのだ.残った「くさきのミノ」と「ゴミのミノ」にはクレッフィに対する有効打が無かったため,そのまま,あっけなく敗北してしまったのである.

通常の対戦であれば,このような負け方をしても仕方がないと思えるのだが,PSSを使用した野良戦では話が違ってくる.対戦機会が少なく,かつ,次に対戦できるまでの時間が読めないため,混乱で自滅するだけで敗北してしまうのは非常に不本意なのである.対戦機会を大切にするためにも,クレッフィに対処できるようなミノマダムの育成は必要不可欠である.

ミノの選択

クレッフィ,特に「いばる」を搭載した型を対策するには,物理技であり,ミノマダムの技の中で唯一タイプ一致で弱点が取れる「じしん」を覚える「すなちのミノ」が最適だ.他のフォルムは,クレッフィに対する攻撃手段に乏しいため,対策として使用するのは難しいだろう.

持ち物

持ち物は「いばる」を意識して「キーのみ」か「ラムのみ」を選択するのが良いだろう.「すなちのミノ」は地面タイプを持っているため,「でんじは」による麻痺で「ラムのみ」を使用してしまうことはない.

クレッフィ以外の相手をする場合も想定して,状態異常を回復できる範囲の広い「ラムのみ」を持たせることにする.

技構成

クレッフィの最大の持ち味は,変化技を優先度+1で繰り出すことが出来る「いたずらごころ」の存在だ.ミノマダム側の対策は簡単で,「スキルスワップ」を使用して特性を奪っしまえば良い.特性を奪った後,先制で「みがわり」を使うことで,厄介な補助技をシャットアウトできる.「スキルスワップ」を使用するターンに飛んでくるであろう「いばる」も「ラムのみ」を持たせているので安心だ.

クレッフィに対して,「じしん」以外は相性が悪いため,残りの技の選択は難しいところだが,クレッフィ突破後の事を考慮して「じわれ」を採用する.もちろん,「でんじふゆう」をされた場合や,飛行タイプに交換された時に攻撃手段がなくなるため,別の技を選択することも考えられる.「ロックブラスト」で飛行対策をしてみたり,「いばる」を採用して相手の戦法を逆手に取ってみるのも良いだろう.

性格と努力値

クレッフィの「イカサマ」に対抗するために,防御寄りの調整を行う必要がある.「いばる」で攻撃力が2段階上昇した場合に「みがわり」が破壊されないようにするには,防御特化だけでは実現が不可能である.しかし,性格補正であえて攻撃を下げつつ,攻撃の個体値が17以下の場合は,「イカサマ」で「みがわり」が破壊されないように調整することが可能だ.残念ながら,攻撃を下げたことにより攻撃2段階上昇の「じしん」でHB特化クレッフィを確定1発で倒せなくなっているが,今回はクレッフィ側に「みがわり」を張られた状態で後出しする状況を考慮し,「イカサマ」耐えを優先することとする.

HPは「みがわり」を4回使えるように実数値が4n+1になるように調整するのが望ましい.

上記の理由から,性格は「ずぶとい」,HPに236,防御に252,特防に残りを振り分ける事にする.

3.対ファイアロー

対策理由

ファイアローは,第六世代で登場してしまった凶悪ポケモンである.特性「はやてのつばさ」により,飛行技が優先度+1で飛んでくるため,多くの草ポケモンや虫ポケモンの存在を否定してきた.ミノマダムも例外ではなく,優先度を持った飛行技の前では最終手段の「がむしゃら」+「ふいうち」戦法も意味がなくなってしまう.飛行技だけでなく,炎技も使用することが出来るため,飛行が等倍となる「ゴミのミノ」で対処することもできない.さらに,「おにび」や「はねやすめ」を駆使した物理受け型も存在するため,炎技と飛行技が等倍で抑えられる「すなちのミノ」でも油断できない存在だ.強力なポケモン故に,遭遇する確率も高く,対策は必須と言える.

ミノの選択

どのミノを使用しても厳しい相手だが,上記の通り「おにび」を搭載した型に当たった場合,「すなちのミノ」では絶対に対処できないため,「くさきのミノ」か「ゴミのミノ」を使用したい.そこで,可能な限り多くのダメージを与えるため,特攻の種族値が最も高い「くさきのミノ」を採用する.「くさきのミノ」は飛行・炎ともに4倍弱点のため,ファイアローの攻撃を誘いやすい事も,ある意味利点とも言える.

持ち物

持ち物は「きあいのタスキ」一択である.ファイアローが「こだわりハチマキ」などの持ち物を持っていた場合は,半減実を持たせたとしても,防御方面に特化してなんとか乱数1発に持ち込めるかどうかになってしまう.肝心の半減実も「ブレイブバード」を打たれるか「フレアドライブ」を打たれるかの2択になってしまうため,安定性に欠ける.

技構成

正直,ファイアローを対策するだけであれば,「めざめるパワー岩」さえあれば,他には何も必要ない.せっかく「きあいのタスキ」を持っているので,「がむしゃら」を覚えさせておいて損はないだろう.「ふいうち」は第四世代限定の教え技なので難易度が高いが可能であれば持たせておくことをオススメしたい.

性格と努力値

ファイアローがHPに努力値を振っている場合,ファイアローのHPは185となる.可能な限りダメージを与えることを考えると,特攻に最大まで振るべきなのは言うまでもない.性格補正も含めて,特攻に特化した場合,「めざめるパワー岩」で148~176のダメージを与えることができる.

これだけではファイアローを倒すことはできないが,幸い,ファイアローのメインウェポンは反動技の「ブレブバード」と「フレアドライブ」だ.「きあいのタスキ」を持っているものの,可能な限り反動のダメージを多くするために,HPに努力値を振るのが良い選択肢だろう.HPに努力値を振ったミノマダムのHPは167になるため,「きあいのタスキ」が発動した場合の反動ダメージは55となる.「めざめるパワー岩」で最低ダメージを引いても148+55=203でファイアローのHPの最大値を超えることができる.

仮に,ファイアローの性格が攻撃下降補正の性格で,努力値を振らず,個体値が0の場合であっても,「くさきのミノ」のミノマダムは「ブレイブバード」や「フレアドライブ」を耐えられないので安心だ.

4.対マリルリ

対策理由

マリルリは,特性「ちからもち」により強力な物理攻撃を仕掛けてくるポケモンだ.防御が高い「すなちのミノ」は水が弱点であり,一見有利に見える「くさきのミノ」は氷技の「れいとうパンチ」が鬼門となる.また,先制技の「アクアジェット」を覚えられるため,「きあいのタスキ」からの「がむしゃら」「ふいうち」戦法も使いにくくなっている.油断をしていると「はらだいこ」から全抜きされてしまうので,可及的速やかに対処することが求められる.

ミノの選択

「くさきのミノ」は,タイプ相性的に一見有利そうに見えるが,「れいとうパンチ」で弱点を取られてしまう上に,「とつげきチョッキ」を持たれるとC特化の「リーフストーム」でさえ,確定1発にすることはできない.「すなちのミノ」は,水技で一致弱点を取られてしまう上に,マリルリに有効打を与えることが出来る技は覚えられない.そこで,マリルリに追加されたフェアリータイプに着目し,新しく弱点となった毒技の「ダストシュート」を覚えられる「ゴミのミノ」で対策をしていく.

持ち物

持ち物は,解禁された「イバンのみ」を推奨したい.HPが少なくなった時に,相手よりも早く行動ができるため,マリルリを突破した後にも役割を持つことができるようになる.マリルリを対策するには,ほぼ不要な持ち物なので,マリルリ狩りを安定させたいのであれば「オボンのみ」などの選択肢も考えられる.

技構成

マリルリを突破する火力を与えてくれる「ダストシュート」は確定とする.「スキルスワップ」は,マリルリの最大の武器である「ちからもち」を奪うことで,火力と擬似的な耐久を手に入れることができる.その他,一致技の「アイアンヘッド」も覚えさせておいて損はないだろう.素早い相手に一矢報いる「ふいうち」も育成環境があれば是非採用して欲しい技だ.

性格と努力値

今回,マリルリを対策するにあたって重要なのは,マリルリよりも早く行動することである.素早さの種族値では,ミノマダムが36,マリルリが50と若干負けているものの,素早さに努力値を割いたマリルリに遭遇する可能性は低いと考えられる.そこで,ミノマダムの素早さに252を振ることでマリルリよりも先に行動できるように調整する.マリルリの行動前に「スキルスワップ」を使うことで,マリルリの攻撃力を大幅に削ぐことが出来る.

「スキルスワップ」で「ちからもち」を奪うことで,補正ありA特化のマリルリの「アクアテール」が確定3発となり,「アクアテール」+「アクアジェット」も十分耐えることができるようになる.「スキルスワップ」を使用するターンに「はらだいこ」を使われた場合でも,「ちからもち」さえ奪っておけば,「アクアジェット」は確定2発となる.上記のダメージ計算は,耐久無振りのミノマダムで達成できるため,今回は耐久に努力値は振らないこととする.

マリルリを倒すための「ダストシュート」は,補正ありA特化でも確定2発になり,マリルリが「オボンのみ」を持っている場合,確定3発になってしまう.しかし,前述のとおり「スキルスワップ」により「ちからもち」を入手しているため,「オボンのみ」を発動させることなく,一撃でマリルリを倒すことが出来る.命中率に難があるものの,足りない分は勇気で補えば問題ない.

5.対ボーマンダ

対策理由

ボーマンダは,ORASでメガシンカが可能となり,ミノマダムの天敵としての性能を大幅に向上させた.メガシンカ習得前のボーマンダは,サブウェポンの炎技にさえ注意しておけばよかったが,メガシンカによって特性が「スカイスキン」に変化したため,高威力の飛行技にも注意する必要がとなり,専用の対策が必須級となった.物理型,特殊型の両方の可能性が考えられるが,本稿では,主に物理型を想定した対策を行う.

ミノの選択

「くさきのミノ」は,最悪と言ってよいほどに相性が悪い.飛行4倍,炎4倍で真っ向から対策するのは無謀だと言える.「きあいのタスキ」を持たせることで強引に突破することは可能かもしれないが,あまりにも芸がないので,今回は別のアプローチで対策を行っていきたい.

「すなちのミノ」は,タイプ相性としてはさほど悪くないが,ボーマンダに対する攻撃手段が非常に乏しい.「ロックブラスト」で弱点は取れるものの,メガシンカにより上昇した防御と,メガシンカ前の特性「いかく」により,とてもではないがタイプ不一致の攻撃で倒せる相手ではない.

そこで,ボーマンダの対策には「ゴミのミノ」を使用することにする.「ゴミのミノ」は,ミノマダムのフォルムの中で唯一,メガボーマンダの「すてみタックル」を受けきれるフォルムである.反面,炎技には非常に弱くなってしまうが,特性の「きけんよち」により,ある程度の心構えをすることも出来るだろう.逆に,「きけんよち」が発動しなければ安心して対処できるということでもある.

持ち物

「ゴミのミノ」が「すてみタックル」を受け止められるという特徴を最大限に活かすため,「ゴツゴツメット」を持たせて接触ダメージを狙う.ボーマンダは非接触技の「じしん」を覚えていることが多いが,どちらも等倍となるため,最初の一手では「すてみタックル」を使用してくれる事が多いはずだ.

技構成

メガボーマンダを倒すために必要な技は「めざめるパワー(氷)」のみである.そのため,他の技については任意に選択することができる.後続に負担をかける「ステルスロック」,ボーマンダ突破後にワンチャンを狙える「がむちゃら」,攻撃技の「シグナルビーム」「ラスターカノン」「シャドーボール」などが選択肢になるだろう.

性格と努力値

まず,メガボーマンダの「すてみタックル」を耐えるために,防御に努力値を割かなければならない.しかし,防御に多く振り過ぎる事は厳禁である.過剰に防御に努力値を振ってしまうと,「すてみタックル」の反動ダメージが少なくなってしまい,返しの攻撃で倒すことが難しくなってしまう.ミノマダムの防御実数値を135(補正B60振り,または,無補正B156振り)に調整することで,補正ありA特化メガボーマンダの「すてみタックル」から受けるダメージを141~166に抑えることが出来る.ミノマダムのHPの最大値は167となるため,HPに252振ることにより「すてみタックル」を耐え切ることが出来る.また,この時の反動ダメージは47~55となり,HP4振りメガボーマンダが「ゴツゴツメット」により受けるダメージは28となる.

特攻の実数値を113(補正C108振り,または,無補正C188振り)にすることにより,「めざめるパワー(氷)」で96~116のダメージを与えることができ,確定2発で倒すことが可能となる.

前述の「すてみタックル」の反動ダメージと「ゴツゴツメット」によるダメージの合計は75~83になるため,最低乱数を引いてしまった場合でも,ダメージの合計が171となるため,H4振りのメガボーマンダをちょうど倒すことができるようになる.もし,初手で「りゅうのまい」を積まれてしまった場合でも,攻撃1ランクアップ状態の「じしん」は耐えることが出来るため,「めざめるパワー(氷)」2発で倒すことが出来る.「すてみタックル」を使用された場合は相打ちとなってしまうが,メガボーマンダと相打ち出来るのであれば本望だろう.

ここで,HPに252を振った状態で,防御実数値135,特攻実数値113を満たす組み合わせは,補正B60振り+無補正C188振りのみとなる.したがって,性格は「ずぶとい」,努力値はH252,B60,C188,残りをDに振ることにする.

6.まとめ

本稿では,ミノマダムの苦手なポケモンへの極めてピンポイントな対策方法を考察した.将来,自由にランダム対戦を行えるようになる時に,苦手な相手への対策の重要さが試されるはずである.その際には,ミノマダムで強力なポケモン達に一泡吹かせて欲しい.

参考文献

[1]“種族統一パを使用した対戦方法の考察”,C86, https://sergeant118.booth.pm/items/37829 ,2014