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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

種族統一界におけるアブソル統一の総説

アブソル統一パ カビ丸

1.序論

アブソルは「ポケットモンスタールビー・サファイア」から初登場した,「あくタイプ」のポケモンである.そのため種族統一が最盛期を迎えていた「ポケモンバトルレボリューション(以下バトレボ)」の時代から使うことのできるポケモンでもある.

 私はバトレボの時代から「ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア(以下ORAS)」に至るまで,種族統一はアブソル統一のみを使い,対戦を重ねてきた.

 本論文は,その中で私が経験し,考察してきたアブソル統一の戦い方をまとめておく.また,本論文における考察は,勝利を目指す戦い方に重点を置いているが,楽しむための戦い方を否定するものではない事を予めご了承いただきたい.

2.アブソルについて

対戦環境におけるアブソルの基本情報を表1,2.に示す.

表1.アブソルのタイプ,とくせい,体重

種族名 アブソル
タイプ あく
とくせい プレッシャー,きょううん, せいぎのこころ
体重 47.0kg (けたぐり・くさむすびの威力60)

表2.アブソルの種族値

HP A B C D S
65 130 60 75 60 75 465

表2の通り,アブソルは攻撃以外の能力に突出したものはなく,能力だけ見ると低い水準にいることがうかがえる.しかし,種族統一という観点において,アブソルを支える柱は,大きく分けて三つあると,私は考える.

一つ目は,先制技の豊富さである.アブソルの扱える先制技は「ふいうち」「でんこうせっか」「フェイント」の三種類となり,特に「ふいうち」と「フェイント」の二つは,それぞれ主力技とタスキ潰しというように,役割がハッキリと分かれている.そのため,役割に応じて搭載する先制技を変えられる点はアブソルの大きな強みとなると考えられる.

二つ目は,技の豊富さである.一種類のみで戦う種族統一において技の多さは,そのまま対応できるポケモンの多さにも繋がる.表3で攻撃技に絞り,覚えることのできる技をまとめておく.

表3.アブソルが覚える代表的なタイプ別の攻撃技

  物理 特殊
ノーマル すてみタックル はかいこうせん
ほのお × だいもんじ かえんほうしゃ
みず × みずのはどう
くさ × ×
でんき × かみなり, 10まんボルト
こおり × ふぶき れいとうビーム こごえるかぜ
かくとう ばかぢから ×
どく × ×
じめん × どろかけ
ひこう つばめがえし とびはねる ×
エスパー しねんのずつき サイコカッター みらいよち
むし メガホーン ×
いわ ストーンエッジ いわなだれ がんせきふうじ ×
ゴースト シャドークロ― シャドーボール たたりめ
ドラゴン × ×
あく ふいうち はたきおとす あくのはどう バークアウト
はがね アイアンテール ×
フェアリー じゃれつく ×

表3の通り対戦において有用なタイプの技を多く覚えることがわかる.しかし,「くさ」「どく」「ドラゴン」は一切攻撃技を覚えないことと,「じめん」は「どろかけ」のみとなっており,特にくさタイプ,じめんタイプの技の乏しさがややネックになっている.

ただし,この点においては「めざめるパワー」だけでなく,「ポケットモンスターブラック・ホワイト」以前から使用可能なポケモンのほとんどが使える「しぜんのめぐみ」を覚えるため,まったく対抗策が無いというわけではない.また,残りの「どく」「ドラゴン」については他の技で十分な手段が取られているため,大きな問題はないと考えられる.これに加え,「ポケットモンスターエメラルド」等で「カウンター」も習得でき,強引な突破手段を持ち得る.

攻撃技同様に,変化技においても,アブソルは豊富な種類を持つ.表4.にその例を示す.

表4.アブソルが覚える補助技

能力アップ系 つるぎのまい,めいそう, のろい,つめとぎ
状態異常技 でんじは,どくどく,おにび
天候変化 あられ,にほんばれ, あまごい,すなあらし
その他 ちょうはつ,みがわり, バトンタッチ,なりきり, じこあんじ,みきり, さきどり,ほろびのうた

変化技を用いた細かい戦法は後述するが,まず注目してほしいのは状態異常技である.中でも「でんじは」と「おにび」はそれぞれ「すばやさ」「こうげき」の能力ダウンが付加されており,こちらを有利に運ばせる一助となる.

また,地味ではあるが,全ての天候変化技を使用可能である.こちらは特性による天候変化に対して,効果は薄いものの,天候変化技を利用する相手に対しては柔軟な対応が可能となる.

能力上昇においても優秀な技を多く覚えるアブソルであるが,唯一「すばやさ」だけは上昇させる手段を持たないという特徴がある.この点については,「6.戦略」の項に譲るが,相手の「すばやさ」を下げる手段はあるものの,自分の「すばやさ」上げる手段を持たないと,ある状況においてネックとなってしまうことを頭に入れておいてもらいたい.

三つ目は,「ポケットモンスターX・Y」より追加された「メガシンカ」である.アブソルもメガシンカ可能なポケモンであり,メガシンカ後は能力と特性が大きく変化する.

表5.メガアブソルのタイプ,とくせい,種族値

タイプ あく          
とくせい マジックミラー          
H65 A150 B60 C115 D60 S115 565

まず特筆すべき点は,特性の変化である.「マジックミラー」は相手からの変化技を跳ね返すものである.メインウェポンとなる「ふいうち」が,変化技に対して失敗してしまうアブソルにとって,相手の変化技を抑制するこの特性と,非常に相性がいい.ただし,天候変化や相手の再生回復技,ゴーストタイプの「のろい」を止めることはできないので注意が必要である.

次に,能力については,耐久力の上昇が一切ないものの,「とくこう」「すばやさ」が大きく上昇しており,特に「すばやさ」は,いかに先手を取るかが一つのファクターとなる種族統一戦においては,重要な要素といえる.しかし,その「すばやさ」もメガシンカをしたターンのみはメガシンカ前に依存するため,アブソルより「すばやさ」の高いポケモンと戦う際は注意が必要である.

3.不得意な統一

アブソル統一の組み方や戦い方を知るためには,アブソルの苦手な相手を知る必要がある.

本項ではそのポケモンと,苦手と判断した理由を論じておきたい.

レントラー

とくせい「いかく」による高い物理耐久を持つ.弱点を突きづらく,突けたとしても物理は「いかく」で,特殊は火力不足で落としきることができない.その上,相手の攻撃技には「ばかぢから」があり,特殊攻撃においても多くで確定二発を取られてしまう.

「つるぎのまい」で火力を底上げしても,「いかく」で最終的に無効化されてしまう点は特に痛い.

「めいそう」を積み,特殊で攻めるという手段があるが,物理に対する対抗策が無い限り厳しい.

ローブシン

タイプ相性不利,高耐久高火力,タイプ一致マッハパンチ,アブソルの全ての攻撃を一撃は耐えるなど,アブソル統一において最大の敵といえる統一.こちらがいくら「つるぎのまい」で積もうとも,マッハパンチで台無しにされてしまう.「ふいうち」半減も大きな痛手である.「カウンター」などをどう利用していくかが,勝利を掴むカギになる.

バシャーモ

タイプ相性不利もさることながら,特に苦手となる要素はとくせいの「かそく」である.このとくせいのため,アブソルはメガシンカをしようとも,「こだわりスカーフ」を持とうとも,一ターン後には抜かされてしまう.この要素がなければまだ勝ち目はあるのだが,「こだわりスカーフ」が役に立たない時点で相手をするのはかなり厳しい.

カメックス

そこそこの耐久と火力を持ち合わせており,アブソルで弱点を突くことはできるものの,一撃で落とすことはほぼ不可能.また,カメックス側は物理・特殊共に格闘技を持ち,対処が難しいのが現実.

ピクシー

「アイアンテール」で弱点を突くことができるものの,確定一発にしづらく,「つるぎのまい」なども相手の特性「てんねん」で打ち消されてしまうため,突破しづらい相手となっている.

デデンネ

弱点を突けず,タイプ相性が不利,その上メガシンカしない限り「すばやさ」は負けているという,アブソルにとっては想像以上に戦いにくい相手.

相手が「こだわりハチマキ」をもって「じゃれつく」をしてくるだけでもこちらの勝機はグッと減ってしまうだろう.

ドラピオン・スカタンク

どちらも,アブソルでは実質弱点を突く手段がないポケモン.「しぜんのめぐみ」などで弱点を突くことは可能であるが,ラグラージなどのように四倍弱点ではないため,火力不足が目立つ.そのため,簡単には突破ができない点では苦手といえるポケモンである.

しかし,相手側もアブソルに対して大きな打点があるわけではないので,上記のポケモン達と比べると苦手の度合いは低いといえる.

上記のポケモン達が,アブソルが主に苦手とする相手である.このように「タイプ相性不利」「弱点を突けない」「一撃で落とせない」といった所はアブソルに限らず,種族統一における有利不利に繋がることは意識しておくとよい.

また,アブソルは苦手な統一こそあれど,自信をもって得意といえる統一は存在しないと私は考える.その理由は,アブソルが相手への対抗策を多く持てど,打たれ弱く,しっかり対策を練らなれば相性が有利な相手であっても負ける可能性が高いからだ.しかし,裏を返せば,対策の取り方次第で戦える相手が多いともいえる.

4.相手の傾向とこちらの行動

アブソル統一時,相手の選出,行動パターンの傾向について,いくつか紹介する.ただし,以下に載せる相手側のものは全て,”あくまでもその行動,選出をすることが多かった”だけのものであり,絶対でないことは注意してほしい.

・こだわりアイテムの使用について

多くの相手と,アブソル統一で戦っている中で実感した一つ.というより,ほとんどこれに集約されている.

アブソル統一と戦う相手の多くは,「こだわりスカーフ」「こだわりハチマキ」「こだわりメガネ」を持たせないことが多い.その理由を以下に示す.

「こだわりスカーフ」を持たせる相手が少ない理由は,アブソルのメインウェポンである「ふいうち」にある.バトレボの時代より,アブソルを見て「ふいうち」を警戒する相手は多く,技が一つに固定されてしまう拘り系アイテムに加え,「すばやさ」に依存しない「ふいうち」の存在は「こだわりスカーフ」の利点を潰す事になる.また,「ふいうち」をかわす方法としてある,いわゆる「スカーフトリック」戦法も,XY時代からメガストーン持ちには失敗する仕様から「こだわりスカーフ」を用いられる事は少ない.

ただし,これはあくまでも「ふいうち」が等倍以上で入る相手に飲み限られ,そもそも「ふいうち」が半減になるような相手,物理耐久が高く,耐久に振らずとも「ふいうち」を三発以上耐えてしまう相手には関係のない話であることに注意したい.

また,「こだわりスカーフ」についてこちら側で気を付けるべきことがある.それは,相手がアブソルより速い時に限り,こちら側が「こだわりスカーフ」と「メガシンカ」の同時選出を極力避けることだ.相手側が「こだわりスカーフ」を持つ可能性は低いものの,万が一選出された場合,こちら側は最悪,その一体で二匹を失う可能性があるからだ.メガシンカならば,「ふいうち」を使うことはできるが,相手の体力次第では,落としきることができないため,返り討ちにあってしまう.そのような事態を避けるため,「すばやさ」で優位に立てるアブソルはどちらか一匹に絞ることをお勧めする.

「こだわりハチマキ」「こだわりメガネ」については,理由はほとんど同じであるが,それに加え,相手が余程の低火力でない限りは,アブソルを倒すのにわざわざこれらのアイテムを持たせる必要がないことが大きい.どちらにせよ,対策を練るときに,アブソルは,拘り系を想定した調整を最悪切ってしまえるということになる.

 

・「ふいうち」による読み合い

アブソルのみならず,「ふいうち」を使う際に起こる読み合いについても触れておく.

「ふいうち」という技の特性とPPの関係上,相手の変化技による回避や,アブソルより「すばやさ」の高いポケモンによる先制技による回避があり,これにより相手側は,”いかに「ふいうち」をかわしつつ,「ふいうち」をあきらめるタイミングをついて,攻撃を仕掛けるか”というじゃんけんの様な読み合いをすることになる.勿論これは,アブソル側にもいえることで,”PPを切らす前に,いかに温存しつつ,相手の攻撃のタイミングに「ふいうち」を合わせられるか”といったものになる.一見すると,ほとんど運といえる読み合いに見えるが,アブソル側が選択すべき行動はほぼ一つに限られる.アブソル側は,ただ一つ”「ふいうち」のみを選択し続ける”だけでよい.後は,相手側が勝手に「ふいうち」をくらってくれるからだ.

また,相手の先制技による回避の場合,多くは相手の体力がわずかの時である.そのため,こちらの対処は「ふいうち」よりも「フェイント」の方が優れている.

5.PT編成

種族統一同士,且つ対戦ごとにPT変更が可能なルールが多い昨今において,この重要性は低いものの,今後の種族統一の対戦環境や,大会ルールで一般化されることを願い,普通のPTを相手にすることも踏まえた,PT編成について触れることにする.

私が対種族統一以外で編成したPTはバトレボ時代,XY・ORAS時代の二つがあり,その二つについて紹介する.

バトレボ

1 タスキカウンター型

持ち物 きあいのタスキ
性格 ようき
努力値 AS252
技構成  
みきり つじぎり
カウンター でんこうせっか

「カウンター」することに特化させた型.「みきり」は相手の物理型,特殊型の判別のため,「でんこうせっか」は確実なタスキ潰し.「つじぎり」を採用した理由は安定したダメージソースが欲しいため.かくとうタイプや,強力な物理攻撃に弱いアブソルにとって,「カウンター」は苦手な相手を強引に突破する良い手段となる.

2 こだわりスカーフ型

持ち物 こだわりスカーフ
性格 ようき
努力値 AS252
技構成  
つじぎり さきどり
ばかぢから ストーンエッジ

「すばやさ」が中速程度のアブソルにとってどうしても必要なものとなる型.攻撃範囲と火力を重視した構成にし,低耐久の相手を突破していくことが主な役割.「さきどり」は若干の遊び心である.

3 特殊型

持ち物 たつじんのおび
性格 ひかえめ
努力値 H252,B60,C196
技構成  
ふいうち だいもんじ
10まんボルト れいとうビーム

PT内唯一の特殊型アブソル.「こだわりメガネ」ではない理由は,特殊アブソルが火力でごり押しするスタイルではなく,広い攻撃範囲で弱点を突くことにあるためである.また,「ふいうち」を搭載することで,体力がわずかな相手にも先手でトドメを刺せるようになる.耐久調整はようきガブリアスの「げきりん」を耐える程度.

4 しっぺがえし型

持ち物 くろいメガネ
性格 ゆうかん
努力値 HA252
技構成  
ふいうち みがわり
しっぺがえし つるぎのまい

PT内で最も火力がある型.バトレボ時代の「しっぺがえし」は後攻時だけでなく,相手が交代を行っても威力が2倍になる仕様であったため,採用をしていた.「みがわり」は使える機会は少ないものの,はることができてしまえば,ほぼ安全に「ふいうち」と「しっぺがえし」を使用することができる.

5 ラムソル

持ち物 ラムのみ
性格 ようき
努力値 H252,A172,D36,S44
技構成  
ふいうち ちょうはつ
ばかぢから つるぎのまい

バトレボ時代~BW時代において,私が結論付ける至高のアブソルの型.状態異常に弱いアブソルをカバーしつつ,ある程度の耐久力を持たせることで「つるぎのまい」を積みやすい状況を作る.しかしこの型は私が「ラムのみ」アブソルを育て始めたばかりのものであり,本来の性格は「いじっぱり」を推奨している.

6 対格闘型

持ち物 ヨプのみ
性格 きまぐれ
努力値 H252,B196,残りA
技構成  
ばかぢから しっぺがえし
しねんのずつき でんこうせっか

対格闘型アブソルだが,性格に難があり,その理由は私が初めて孵化で出てきた色違いのアブソルだからである.耐久はエルレイドの「インファイト」を耐える程度まで振っている.「ばかぢから」は「しねんのずつき」が効かないルカリオ用であると同時に,同じアブソル用でもある.また,ゲンガーなどの「きあいだま」を持つゴーストタイプや,エスパータイプに対抗するため,「しっぺがえし」を搭載している.

XY・ORAS

1 タスキカウンター型

持ち物 きあいのタスキ
性格 せっかち
努力値 AS252
技構成  
ふいうち カウンター
はたきおとす がんせきふうじ

バトレボの時と同じ「カウンター」を搭載した府アブソルだが,こちらはより,後続を意識した技構成となっている.「カウンター」を行った後は「がんせきふうじ」による後続サポート,または,「はたきおとす」によるダメージ+持ち物無効化など,「カウンター」後に無力化しないようになっている.その反面,「フェイント」を搭載していないため,相手の「きあいのタスキ」に対する安定感が下がっている.

2 いじっぱりスカーフ型

持ち物 こだわりスカーフ
性格 いじっぱり
努力値 AS252
技構成  
ばかぢから じゃれつく
ストーンエッジ アイアンテール

あえてタイプ一致技を搭載せず,物理の攻撃範囲をできる限り広くカバーした型.数少ないフェアリーへの対抗手段を持つ.「いじっぱり」でもすべてのフェアリータイプに上を取れるので火力重視でこの性格を選択した.

3 両刀メガシンカ

持ち物 アブソルナイト
性格 むじゃき
努力値 H4,A28,C172,S252
技構成  
みきり だいもんじ
はたきおとす れいとうビーム

メガシンカ型.「すばやさ」が高い事を考え,「ふいうち」を切り,「はたきおとす」で火力を重視した両刀型.「とくこう」は,「だいもんじ」でルカリオを確定一発でもっていける調整.

4 ラムソル

持ち物 ラムのみ
性格 いじっぱり
努力値 H252,A76 ,B28,D148,S4
技構成  
ふいうち ちょうはつ
ばかぢから つるぎのまい

メガシンカを獲得しても,使えるのは一匹のため,それ以外は状態異常に弱いことには変わりはない.そのため,この世代でも「ラムのみ」は欠かせないものとなっている.調整はひかえめサザンドラの「りゅうせいぐん」確定耐え.

5 特殊型

持ち物 たつじんのおび
性格 ひかえめ
努力値 H252,B132,C124
技構成  
フェイント だいもんじ
10まんボルト れいとうビーム

調整は「こうげき」一段アップのメガギャラドスの「たきのぼり」確定耐え.バトレボ時代のものより耐久に多く割いている.また,火力重視から安定重視にし,「ふいうち」ではなく「フェイント」を採用.「きあいのタスキ」や「がんじょう」相手に対処しやすい形となる.

6 対格闘

持ち物 ヨプのみ
性格 わんぱく
努力値 H140,A116,B252
技構成  
みきり ふいうち
フェイント じゃれつく

「いのちのたま」持ち性格補正無しバシャーモの「とびひざげり」確定耐え.かくとうタイプに対し,より打点のある「じゃれつく」を採用.反面バシャーモなどに対して弱点を突けなくなる.

上記のように,バトレボ時代,ORAS時代における私のアブソル統一の基本構成を紹介した.ここで私が意識していることは,”耐久型を一切入れない”,”半減実持ちは一匹まで”,”「きあいのタスキ」と「こだわりスカーフ」は必ず入れる”,この三点である.

まず,”耐久型を一切入れない”については,全て同じポケモンで揃える種族統一において,そもそも耐久型が成り立つのが余程の高耐久でなければならないためである.そのため,打たれ弱いアブソルには向かず,PTのスペースを圧迫してしまうだけである.耐久に努力値を振るとしても,”一発耐えて反撃するため”であることを意識してほしい.

次に,”半減実持ちは一匹まで”については,あくタイプそのものが弱点が少ないことと,全てカバーしてしまうとPTのスペースを圧迫してしまうためである.また,持たせる半減実も基本はかくとうタイプ対策の「ヨプのみ」をお勧めする.理由は,対面する頻度が一番多いため.アブソルの弱点であるむし・フェアリーに比べ,対戦環境では,かくとうタイプと戦うことが圧倒的に多い.

最後に,”「きあいのタスキ」と「こだわりスカーフ」は必ず入れる”については,アブソルというより多くの種族統一において必須に近いアイテムであるためである.アブソルにとってはこの持ち物でいかに,多くの相手をすることができるかが,勝負となる.

6.戦略

前項では,種族統一以外も想定したPTを紹介したが,本項では,種族統一戦におけるアブソルの戦法を紹介したい.

多くの種族統一大会において,対戦ごとのメンバー入れ替え可能が基本となっており,いかに対戦相手のポケモンを対策するかがカギとなってくる.対策を立てた個体だけ用意できればいいため,三匹揃っていれば他は,適当な個体でも構わない.

そして,その対策の立て方は,アブソルは大きく分けて二種類に分けられる.

1 一匹一殺

主に”なんらかの方法で一撃は耐えられる”ことと,”一撃で倒せる技がある”ポケモンを相手にした時の戦法.かくとうタイプと戦うことになった時の戦い方は,基本これ一択である.

選出する三匹全てを,相手への対抗策を持った個体で揃えるのが基本となり,上記のかくとうタイプ以外にも,”積む必要のない相手”や”積み技をさせてくれる暇のない相手”もこの戦法に含まれる.

この戦法の組み方として,ルカリオを例にとってみる.ルカリオはアブソルよりも「すばやさ」が高く,反面メガシンカ時はアブソルの方が上となるかくとう・はがねタイプのポケモンである.耐久力はそれほど高くなく,アブソルの「ばかぢから」で突破が可能である.しかし,相手側も同様に「インファイト」や「しんくうは」など,こちらを一撃で落とせてしまう技を多く所有する.そのため,どちらが先に相手を倒せるかが勝負の分かれ目となる.

まずこちらが用意する持ち物は,「きあいのタスキ」「こだわりスカーフ」「アブソルナイト」の三つである.「4.相手の傾向とこちらの行動」で,「こだわりスカーフ」とメガシンカは同時選出を控えた方がよいという話をしたが,ルカリオは例外である.その理由は,”半減実を持たせてもメガルカリオの攻撃を耐えられない”からである.どちらにせよ,その場合は相手の「こだわりスカーフ」が怖くなってしまうのだが,こちらはメガルカリオに対抗する手段が増えるようになる.

努力値の振り方は,「きあいのタスキ」持ち以外は,必ず”メガルカリオの「しんくうは」確定耐え”させておく必要がある.それ以外の攻撃は,そもそも上から叩くため耐える必要がなく,「しんそく」も,どんな持ち物を持たせていても耐えることができるため,意識する必要がないのである.

技は,全員「ばかぢから」の搭載と,「こだわりスカーフ」以外は「フェイント」を必ず持たせる.メガアブソル以外は「フェイント」を持っていても相手の「しんそく」で潰されてしまう可能性はあるが,「しんくうは」持ちの可能性も高いため,一概に不要はいえない.また,メガアブソルにはこれに加え,「みきり」の搭載も必須となる.安全にメガシンカを行い,こちらが上を取るためだ.

以上のような組み方を行うのがこの戦法となる.ただし,この戦法で注意しておきたいのは,一匹倒し終わった後,置物にならない事である.例えば「カウンター」を使用した後ならば,それ以外に打点となる技を用意する,「ちょうはつ」や「おにび」などを搭載するといった,次出てきた相手に仕事をさせない立ち回りも意識しておくとよい.ありがたいことに,余程の事がない限りは,技のスペースは余るので,上記の技を用意しておくのもよいだろう.

2 積み戦法

「つるぎのまい」や「めいそう」で火力を上げ,三縦を狙っていく戦法.この戦法は,主に”弱点を突けない相手”や”一撃で倒せない”,”相手の先制技で大ダメージをくらわない”といった相手に有効である.また,この戦法も細かくみると二分化でき,「バトンタッチ」を使用するか否かである.「バトンタッチ」を使用しない場合は,単体で積んでも問題ない場合であるが,使用する場合は,”相手がアブソルより速い”,”「つるぎのまい」一回だけでは倒しきれない可能性がある”場合が好ましい.この技を使用するメリットは,「こだわりハチマキ」持ちなどに,更に火力上昇ができる事,「カムラのみ」を持たせることで「すばやさ」の上昇も引き継げることである.

「つるぎのまい」を二回,三回と積む暇のないアブソルにとって,一回でできる限り火力を上げておきたい.また,アブソル自身の「すばやさ」を上げる手段を持たず,「カムラのみ」による上昇のみとなる.その「カムラのみ」も,単体で使用する場合,発動時の体力の問題もあり,発動後の先制技に対する弱さがでてしまう.そのため,「バトンタッチ」で後続に引き継ぐ戦い方が望まれる.

この戦法を使用する場合のPT選出は,「積みの起点を作る型」または「予備で相手できる一匹」,残りは「バトンタッチ型」「引き継ぎ先」となる.

起点作りをする型は,「おにぴ」や「でんじは」,「バークアウト」など,相手の能力を低下させ,積み技を使用しやすくするための型.この型自身は後続をサポートできればいいので,「きあいのタスキ」などを持たせておいても良い.

「バトンタッチ」を使用する型は,以下にその例を示す.

持ち物 カムラのみ
性格 ようき
努力値 HS252
技構成  
ふいうち みがわり
バトンタッチ つるぎのまい

対戦相手によって細かい調整は変わってくるが,技構成は基本この形で変更する必要はない.引き継ぎ先も同様に,対戦相手によって調整を変えていければそれが最良ではあるが,極振りでも問題なく活躍できる.

この戦法のポイントは,いかに無双体制を作れるかにかかっている.先の「1 一匹一殺」では,対策次第で二匹以上落とせる時もあり,一匹が失敗しても,比較的カバーの利く戦法である.しかし,この戦法は一匹でも失敗は許されず,仕事ができない事がそのまま敗北につながってしまう.

対戦相手の統一によってどちらの戦法をとるかは変わってくるものの,それぞれの戦法の利点,欠点をしっかり理解した上で戦うようにしていただきたい.

7.まとめ

本論文では,アブソルがどんなポケモンか,どんな相手が苦手で,どのような相手にどのような戦い方をしていけばいいか,そしてアブソルの扱いに置ける注意点,その概要を解説した.無論,今回で全ての事を解説できたわけではないが,本論文を読んで,アブソル統一の扱いを何か一つでも得られることがあれば幸いである.