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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

ミノマダム統一パの立ち回りに関する考察

ミノマダム統一パ ぐんそー

1.はじめに

種族統一パとは,1種類のポケモンのみで編成したパーティのことである.ポケモンの種類の数だけ種族統一パは存在するが,本稿では,特にミノマダム統一パにおける対戦時の立ち回りについて考察を行う.

2.ミノマダム統一パについて

種族統一パにおいて,ミノマダムは少々特殊な存在である.種族統一パの定義や対戦時のルールにもよるが,フォムルチェンジによって種族統一パでありながら,タイプや種族値が異なるパーティを組むことができる.ミノマダムのフォルムチェンジによる違いを表1,表2,表3に示す.

表1.ミノマダム(くさきのミノ)

タイプ むし・くさ
特徴 「リーフストーム」の瞬間火力の高さが魅力 「こうごうせい」による再生回復も可能
HP A B C D S
60 59 85 79 105 36

表2.ミノマダム(すなちのミノ)

タイプ むし・じめん
特徴 「じしん」の火力と弱点対策で安定した実力を誇る。「じわれ」による一発逆転も可
HP A B C D S
60 79 105 59 85 36

表3.ミノマダム(ゴミのミノ)

タイプ むし・はがね
特徴 弱点の少ないタイプが最大の魅力。 補助技によるサポートではミノ1の実力を持つ
HP A B C D S
60 69 95 69 95 36

3種類のフォルムを使い分けることで,他の種族統一パに比べて広い攻撃範囲やしっかりとした役割分担を行うことができる.もっとも,種族統一パの利点である「対戦相手からの読まれにくさ」においては,他の種族統一パに比べて劣ることとなる.

本稿では,3種類すべてのフォルムを選出するという前提で話を進めるが,これは個人的な縛りであることは留意して頂きたい.例えば,「すなちのミノ」2体+「くさきのミノ」という選出が可能になれば,より有利に立ち回れる状況も生まれるだろう.

余談ではあるが,ミノマダムの他にタイプ変化を伴うフォルムチェンジが可能なポケモンの例としてはロトムが挙げられる.ウォッシュロトムなどが当時のレーティングバトルで活躍したこともあり,非常に風当たりが強く,しばしば「ロトムはフォルム1種類にすべき」「ロトムはズルい」という論争が繰り広げられた.一方で,なぜかミノマダムに関しては「別にいんじゃね?」的な空気が漂っているのが真に遺憾である.ロトムのフォルムチェンジの良し悪しに関しては,ミノマダム的には非難できる立場にないので,筆者はフォルムチェンジを含むロトム統一の使用に関しては容認している.

3.交換の読み

ミノマダム統一パは,前述の通り,3種類のフォルムチェンジにより,パーティ内に異なる3種類のタイプが存在する.そのため,ミノマダム統一パは種族統一パであるにも関わらず交換の読みあいが発生するという特徴がある.例えば,氷タイプの技を持っているポケモンと「くさきのミノ」が対面したときは氷技を読んで鋼タイプを持つ「ゴミのミノ」に交換するという選択肢が生まれる.特に,3種類すべてのフォルムを選出する場合は,後ろに控えているフォルムを予想されやすくなるため,より交換の読みあいが発生しやすくなる.もっとも,すべてのフォルムに共通した弱点である炎タイプの技を持っているポケモンとのバトルでは,炎技を選択するのがド安定なため,読みあいは発生しにくい.

さて,ここでミノマダムのタイプ相性を見てみよう.ミノマダムの各フォルムのいずれかに対して弱点をつけるタイプは下記の5種類である.

ほのおタイプ

「くさきのミノ」「ゴミのミノ」に4倍,
「すなちのミノ」に2倍となる.

ひこうタイプ

「くさきのミノ」に4倍,「すなちのミノ」に2倍,
「ゴミのみの」に等倍となる.

こおりタイプ

「くさきのミノ」「すなちのミノ」には2倍,
「ゴミのミノ」には半減となる.

みずタイプ

「すなちのミノ」に2倍,「ゴミのミノ」に等倍,
「くさきのミノ」に半減となる.

どくタイプ

「くさきのミノ」に2倍,
「すなちのミノ」に半減,
「ゴミのミノ」に無効となる

このように,炎・飛行を除けば,あるフォルムに対して弱点となるタイプの攻撃でも,他のフォルムが耐性を持っていることがわかる.炎に関しては「すなちのミノ」が2倍,飛行に関しては「ゴミのミノ」で等倍となるため,半減では受けられないものの,他のフォルムよりはマシなフォルムが存在するのがわかる.

そのため,フォルムごとに違う耐性を活用することで幅広いタイプに対応できるのがミノマダム統一の利点といえる.以下に交換時の対応の例を示す.

状況1:みずタイプのポケモンと対面

みずタイプのポケモンと「すなちのミノ」が対面した状況を考えてみよう.「すなちのミノ」に対しては一致技の水技とサブウェポンとして持っていることが多い氷技の両方で2倍弱点を突くことができる.控えの「くさきのミノ」は水技を半減し,「ゴミのミノ」は氷技を半減することができる.どちらに交換しても構わないのだが,氷技は「くさきのミノ」に対しても2倍弱点となるため,交換先としては「ゴミのミノ」の方が読みを外した時の被害が少なくなるだろう.このように他の種族統一パに比べると,交換の時に考える余地が多いことがわかる.もっとも,素早さの関係上,先手を取られる場合がほとんどなため,交換は慎重に行う必要がある.

状況2:いかにも炎技を持っていそうな相手と対面

次に,炎技を撃ってきそうな相手と「くさきのミノ」または「ゴミのミノ」が対面してしまった状況を考えてみよう.相性的には完全に不利で,おそらく一撃で倒されてしまうであろう.この場合,直情的にミノマダムの中では炎技のダメージが少ない「すなちのミノ」に交換したくなるが,安易に交換してはいけない.先ほど述べたように,素早さの関係上,交換した後に相手の方が先に動ける状況が圧倒的に多い.交換時と次ターンに連続して弱点をつかれてしまえば,「すなちのミノ」でもやられてしまうだろう.もし,「すなちのミノ」が倒されてしまったら,後ろに残った「くさきのミノ」と「ゴミのみの」も続けて炎技の餌食になることは想像に難くない.そのため,もし炎業を持った相手と「すなちのミノ」以外が対面してしまったら,あきらめて捨てることも戦術の1つとして候補に入れるしかない.たとえ残り2匹で相手の3匹を倒さなければいけないとしても,全滅するよりはマシだろう.

4.弱点対策

タイプが三種類あるミノマダムは,種族統一パとしては対応範囲が広い部類に入るかもしれないが,フォルムに共通する弱点が存在する以上,他の種族統一パ同様に対策は必須である.特に,2つのフォルムに対して4倍弱点となり,全てのフォルムに対して唯一弱点となるほのおタイプの対策は特に重要である.

4.1 炎対策

ほのおタイプの対策には「すなちのミノ」が最も適している.2倍弱点で済んでいることはもちろんだが,複合タイプのじめんタイプがほのおタイプに対する攻撃手段としても有効だからである.表4はスタンダードなほのおタイプ対策用のミノマダムである.

表4.炎対策ミノマダム(すなち)

ミノ 特性 性格 持ち物 調整
特性すなちのミノ きけんよち いじっぱり オッカのみ H252 A252 D6
技構成  
じしん ロックブラスト
むしくい ふいうち

「オッカのみ」でほのお技を半減しつつ,「じしん」で逆に弱点を付いてカウンターをする型.非常に単純な戦略ではあるが,単純ゆえに高い安定性を誇る.ほのお対策以外にもミノマダム統一パにおいてアタッカーの役割も兼ねているので,殆どの場合で選出されることになる由緒正しいミノマダムである.

4.1 きあいのたすき

弱点対策として最もメジャーな道具である「きあいのたすき」.ミノマダム統一パでも当然,弱点対策として非常に有用な道具である.ミノマダムは「きあいのタスキ」と強力なシナジーを形成する「がむしゃら」を覚える上に,先制技である「ふいうち」も第四世代限定ではあるものの,覚えることができる.表5は「きあいのタスキ」を持たせた弱点対策ミノマダムである.

表5.がむふいミノマダム(くさき)

ミノ 特性 性格 持ち物 調整
くさきのミノ きけんよち おっとり きあいのたすき C252 S252 A6
技構成  
リーフストーム どくどく
がむしゃら ふいうち

「すなちのミノ」以外のフォルムは,ほのおタイプが4倍弱点となるため,半減実を持たせたとしてもほとんど意味が無いことが多い.そのため,「きあいのタスキ」を持たせてなんとか1発耐えてから反撃を狙うのがセオリーである.「くさきのミノ」か「ゴミのみの」のどちらに「きあいのたすき」を持たせるのか悩みどころではあるが,「くさきのミノ」に持たせることをお勧めしたい.「くさきのミノ」は「ゴミのミノ」に比べて弱点が多いことや,「くさきのミノ」が覚える技のバリエーションが「ゴミのミノ」に比べて少ないため,「がむしゃら」と「ふいうち」を搭載するための技スペースに余裕があることが主な理由である.

また,耐久に努力値を振る必要がまったくないため,素早さに努力値を振っている.「リーフストーム」で弱点をつけるみず・いわ・じめんタイプのポケモンは素早さが比較的遅めなので,あわよくば先制して「リーフストーム」を撃つことで,状況を有利に持っていくことも可能である.素早さに性格補正なしで努力値を252振った,いわゆる準速ミノマダムでは,無振り88属と同速になるので,抜ける範囲のポケモンを覚えておくと良いだろう.

5.初手の選出

3章で述べたように,不利な対面をしてしまった場合のアドバンテージの喪失は,ミノマダム統一パにとって死活問題である.ミノマダム統一パに対峙した対戦相手が考えうる選出を予想した場合,大きく2つの戦術が考えられる.まずは,初手でミノマダムに対して有利なポケモンを選出して一気に勝負を決めるパターン.そして,エースを温存し,他の2体で削りつつ,最後に勝負を決めに来るパターンである.

前者の場合を考えると,4章で紹介した弱点対策のミノマダムのうち,「きあいのたすき」を持たせた「がむふい型」が有効である.初手で出てきたエースを潰してしまえば,相性による一方的な試合を押し付けられる可能性は低くなる.

一方で,後者のようにエースを温存する戦略を取られた場合では,初手で「がむふい型」を出してしまうことは避けるべきである.「きあいのたすき」を捨てるか,1ターンを無駄にしながら泣く泣く交代を選択するかの,美味しくない2択を迫られることになってしまう.この場合は,弱点対策をしつつアタッカーとしての役割を持つ「ほのお対策型」のミノマダムを初手で選出するのが良いだろう.

もちろん,相手のエースに相当するポケモンが2体以上選出される可能性もあるため,基本的には弱点対策を主とするミノマダムを2体以上選出することが望ましい.

6.まとめ

本稿では,ミノマダム統一パにおける対戦時の立ち回りや弱点対策の考察を行った.ミノマダム統一パはフォルムチェンジにより,他の種族統一パとは一風変わった戦略を取ることができる.交換時の相性の読み合いや種族統一パで新しい刺激を感じたい人にお勧めしたい.