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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

新環境とそれがもたらすエルレイド統一への影響

エルレイド統一 アット

1.梗概

1-1 新環境について

ポケットモンスターサン&ムーンの発売に伴い,新たなポケモンの登場や技などの仕様変更がもたらされた,新しい対戦環境(以降新環境)へと変わった.

1-2 新環境とエルレイドの関係

新環境はエルレイドにどのような影響をもたらしたのか.

1-3 新環境とエルレイド統一の関係

新環境はエルレイド統一にどのような影響をもたらしたのか.

2.新環境が与えた影響

2-1 ミミッキュの登場

ミミッキュというポケモンは,タイプ相性上,エルレイドに非常に有利である.ゴースト・フェアリータイプという新しい複合タイプであるが,そのどちらも,エルレイドには「こうかばつぐん」となる.また,エルレイド側からは,タイプ一致で威力の高いかくとうタイプの技を打ち込むことができない.

2-2 カプ・テテフの登場

カプ・テテフに関しては,タイプ相性という点においては,ミミッキュと同様に不利である.エルレイドから撃てる技に「どくづき」が追加されるが,威力が低いため,明確な回答にはなり得ない.しかし,カプ・テテフのとくせい「サイコメイカー」によってもたらされる「サイコフィールド」という状態は,エルレイドにとって大いに有利にはたらく.

「サイコフィールド」状態のフィールドでは,エスパータイプの技の威力が1.5倍になり,味方のポケモンは相手のポケモンからの先制技を受けない.

エルレイドのメインの技となる「サイコカッター」や「しねんのずつき」はエスパータイプの技であるために,「サイコフィールド」の威力補正の恩恵を受けることができる.

また,エルレイドは,ある程度の耐久値を持っているため,素早さが勝っている相手の攻撃を一回耐える調整をし,2ターンで確実に倒す,という戦法を採ることが多い.しかし,相手に先制技があった場合,そのギリギリ耐えるという調整は無為なものになる.それを防ぐことができる「サイコフィールド」と,「サイコメイカー」によってそれを瞬時に展開するカプ・テテフの存在は,エルレイドにとって非常に大きい.

2-3 はがねタイプの増加

ミミッキュやカプ・テテフといった,新規フェアリータイプを対策するために,はがねタイプのポケモンが多く登用されるようになった.エルレイドはかくとうタイプであるため,これらのポケモンに有利に立ち回れることが多い[1].

2-4 Zクリスタル

すべてのポケモンが少なからぬ影響を受けた新環境最大の変化は,Zクリスタルによって生み出されるZワザだろう.新環境をこれ抜きに語ることはできない.

エルレイドに限っていえば,「どくづき」で落としきれなかったフェアリータイプのポケモンを,Zワザの「アシッドポイズンデリート」を使うことで確実にもっていけるようになるなど,攻撃面での恩恵は非常に大きなものである.

しかしそれは,今まで受けきれていたポケモンを受けられなくなった,ということでもある.思わぬところから一撃で落とされてしまう技が飛んでくる,ということをしっかりと留意しなければならない.

3.シャドースチールに見るエルレイド統一と新環境

先に行われたインターネット大会『シャドースチール』では,様々な種族統一パーティを見ることができた.

45戦しか戦闘ができなかったため,サンプル数は非常に少ないが,ここから新環境とエルレイド統一の関係を考察していきたい.

3-1 Zワザ

前述のとおり,Zワザは恩恵をもたらすとともに試練も与えることとなった.ただエルレイド統一に関していえば,Zワザは恩恵をもたらす面のほうが圧倒的に強かったと感じている.

主な理由として,エルレイドの弱点をタイプ一致でついてくるポケモンに,そのタイプのZクリスタルを持たせることが少ない,ということが挙げられる.

例えば,カプ・テテフは,当然「ムーンフォース」でエルレイドに弱点を付けるのだが,「サイコメイカー」というとくせいを生かし,フェアリータイプとしてではなく,エスパータイプとして運用されることのほうが多い.持ち物も「こだわりメガネ」や「こだわりスカーフ」といった既存の物が多数を占めた.Zクリスタルを持っていても大方は「エスパーZ」である.

ただしミミッキュ,てめーはダメだ.

3-2 新ポケモンの台頭

新環境で新しく登場したポケモンは,主にゴーストタイプとフェアリータイプである.当然このことは,エルレイド統一にとっては逆風でしかない.特に、前述のミミッキュ,カプ・テテフといった,単体性能が高いポケモンは,それ一体だけでも容易にパーティを崩壊させられるため,エルレイド統一を組むうえで強く意識しなければならない.処理ルートをいくつか作ることが必須であると感じた.

3-3 新規取得技

エルレイドが第七世代で新しく覚えられるようになった技は無い.『シャドースチール』においても,第六世代でのエルレイド対面と同じ動きをされることが非常に多かった.そのため,何か新しい技を取得できていればその隙を突いた動きができ,結果が変わった試合が出てきたかもしれない.言わずもがな,新規取得技があることを相手が知らない前提である.

3-4 スキン系とくせいの弱体化

メガボーマンダの「スカイスキン」,ニンフィアとメガサーナイト,そしてメガチルタリスの「フェアリースキン」は補正倍率が1.1倍に下げられた.事前の考察段階ではあまり意識をしていなかったのだが,これはエルレイド統一にとって喜ばしいことである.

例を挙げると,特化メガサーナイトのスキン補正有「ハイパーボイス」を,特化エルレイドは60%近くの確率で耐えられるようになった.返しの「アシッドポイズンデリート」はA無補正無振りでも確定一発である.

4.総括

単体性能の面で見れば,多くの中堅ポケモンと同様に一定の強化はなされたと評価できる.しかし,相対的にみると,大きく弱体化がなされたという評価に変わる.エルレイド自体は何も変化していないからだ.前環境以上に,構築力やプレイングが求められるようになっただろう.有利不利を明確に把握し,それに対する回答を複数用意できるかどうかに懸かっている.研究の余地はまだあると思われるので,継続的に研究を進めていきたい.

[1]エルレイドが明確に不利な「はがねタイプ」は「かくとうタイプ」無効のヒトツキ系統,とくせい「いかく」であるクチート.