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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

種族統一に必要なもの ~バトレボはなぜ流行った~

ラッタ統一 ゴロウ

1.はじめに

ポケモンの楽しみ方は多彩で,ガチの対戦はもちろん,交換,孵化,厳選,育成,グッズ集めやコレクションなどなど,人それぞれ好きなことを好きな形で楽しんでいる. その中のひとつがポケモン統一である.統一といっても種族統一だけでなくタイプ統一や色統一,技統一などのくくりはあるが,ここでは種族統一,同じ種族のポケモン(解釈によって,その進化前後を含んだり,異なるフォルムチェンジを混ぜたりする場合もある)で統一した3~6体のPTについて述べる. しかし,ポケモンの種類が800種類を超えて戦略の幅が広がっている以上,特定のポケモンにのみ着目する遊び方は縛りプレイといっても過言ではないという見方もあるだろう. では,なぜこのような遊び方がポケモンユーザーに比較的受け入れられ,愛される遊び方となったのであろうか.

2.種族統一の歴史

まず,種族統一というものがどのような経緯を経て生まれたのかを振り返ってみる.ただし,筆者自身の視点や体験したものをベースとしたものであり,特に種族統一に限らなければ当時のポケモン実況者は把握しきれないほどたくさんいたため,諸説ありと考えていることを断っておく. まず,種族統一という考え方は古くは初代である『ポケットモンスター 赤・緑』から存在していた.某攻略本[1]ではミュウツー統一が紹介されており,それは当然ながら当時最強PTであった.ちなみに当時小学生であった私は,兄弟共用ROMの『赤』でラッタ統一PTを組んでいた.しかし,これらはやはり多くの人が遊んでいたような汎用性が高い遊び方ではなく趣味の域であったと考えてよいだろう. 時は過ぎ第四世代.『ニコニコ生放送(以下,ニコ生)』がまだなかった頃や開始直後の時期である.ニコニコ動画でポケモン関連動画は多数投稿されていたが,「種族統一」,または,この言葉が生まれる前に使われていた「統一パ」という言葉は当時はまだ存在していなかった.しかし,代わりに動画に登録タグとして「1種類へのこだわり」「2種類しかいない動画(1種類しかいない動画)」といったものが使用されていた.そのような動画は,古くは2007年5月から投稿されており,Wii専用ソフト『ポケモンバトルレボリューション(以下,バトレボ)』が2006年12月発売であったことを考えると,バトレボ初期から存在したプレイスタイルであったのではないかと考えられる.しかし,確認した限りではバトレボを使用したもの以外での動画投稿(DSの直撮りなど)は特に確認できなかった.当時もやろうと思えばDS同士でのネット対戦で種族統一戦は可能であったが,まだ種族統一をやる動画配信者の人口も少なかったであろうし,あくまでもネタPTとしての要素が強く,種族統一というプレイスタイルはDSでやるにはとてもハードルが高かったのではないだろうかと考えられる. 次に,ニコ生サービス開始以降についてである.ニコ生は2008年12月からサービス開始しているが,最初期のニコ生ユーザー配信者(以下,生主)の中にもDS直撮り配信や,バトレボ配信によるポケモン放送はいくつか散見された.そして,その中の何名かは今でいう「種族統一」のPTを組めるようにしていた.しかし,私が記憶する限りでは,2009年6月からラッタ統一の配信を始めるまでは「1種類のポケモンのPTを使用したものがメインコンテンツ」である生放送は存在していなかった.他のポケモン生主は基本的にポケモン対戦の基本ルール(6→3のバトルタワールール)で通常対戦や,バトレボによるランダムマッチング・フレンド対戦を行い,息抜きに変わり種PTとして種族統一を使っていた生主がいた程度であった. 配信スタートした当初,私はラッタ統一でバトレボ放送をしている傍らで,自分の放送を宣伝するために他放送へ対戦申し込みをしたこともあった.バトレボ時代に種族統一を始めた人からはなかなか考えられないかもしれないが,当時のニコ生はバトレボではなくDS対戦メインであった.DS対戦では,シールをモンスターボールに貼り付けることでポケモンが登場する時等にエフェクトを追加できる機能[2]を使用することができ,私はアンノーンのシールで「RATTA」とエフェクトが出るようにするなど,バトレボではできないようなDS限定の機能も活用しラッタ統一を宣伝していた.対戦申し込みの時に「同じポケモン3匹使用でもいいですか?」と事前に断りを入れておけば,相手側もすんなり受け入れてくれていた.もちろん,当時はまだ少なめであったバトレボ放送の生主とは積極的に関わりを持ちながら,自身のPT考察や立ち回りの向上とともに,当時は珍しい「ラッタという同じポケモンを使い続ける放送」を少しずつアピールしていった. また,当時は『みんなのポケモン牧場』というWiiウェアのDL専用ソフトがあり,ROM内のポケモンを牧場で放し飼いにして,遊んでいる姿を眺めたり,Wiiリモコンでポケモンをつまんだりして遊ぶことができた.私はバトレボ配信メインではあったが,そのソフトを雑談枠用で流すことにし,その牧場に孵化余りとなったコラッタやラッタのほとんど全てを送り,コラッタとラッタだらけの牧場を作った.種族統一勢との中にはバトレボに限らずこのソフトの復活も希望している人が実は多かったりする. 話は戻るが,2009年9月に『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー(以下,HGSS)』が発売され,おおよそそれからポケモン放送が増えた.そのあたりから「統一パ」という言葉も広まっていき,少しずつではあるが種族統一のバトレボ放送も増えていった.ある時に,大手の生主が開催した種族統一限定の大会がとても大きな盛り上がりを見せ,急激に種族統一放送が増えたと記憶している.DS対戦メインであったポケモン放送のほとんどが種族統一のバトレボ放送だらけになっていたくらいである. しかし,爆発的に増え,そして盛り上がりを見せた種族統一もある時を境に一気に人口が減ってしまった.第五世代の新作,『ポケットモンスター ブラック・ホワイト(以下,BW)』の発売(HGSS発売の翌年,2010年9月発売)である.BWは,バトレボ非対応なのは当然として,「ランダムマッチングでは同じポケモンや道具が使用不可能である」などルールや勝敗もきっちりと決められたものとなり,種族統一はランダム対戦では潜ることが不可能となってしまった.また,フレンド対戦でも「制限なしルール」か「フラットルール」のみが選択可能で,ランダムマッチング準拠の「フラットルール」では種族統一で遊べなくなってしまった.もし種族統一戦をする場合,フレンド対戦で使用ポケモンをレベル50に揃えて「制限なしルール」を選択するか,もしどうしても「フラットルール」を適用させるならば「リアルで会い,赤外線通信で対戦する」という方法をとるしかなくなった.結果,バトレボのように気軽に種族統一戦が遊べなくなったことで種族統一のプレイ人口も減ってしまったのである.そして「フラットルール」やランダムマッチングでも可能な遊び方として,種族統一以前からあったタイプ統一をはじめ,新たな統一戦の形として技統一・色統一などといったものが生まれた.今まで「統一」「統一パ」と言えば概ね種族統一を指していたが,それらの様々な「統一」が生まれたことにより,紛らわしさを回避するため「種族統一」という言葉はこの頃から使われ始めたのである. BW発売によるランダムマッチングやネット対戦環境の大きな変化により,バトレボの続編を待ち望むプレイヤーも種族統一勢を問わずいたが,残念ながらバトレボ以降,テレビ画面でポケモン対戦ができるツールは2018年11月現在まで発売されていない. バトレボで種族統一をやっていた人々も,しばらくはバトレボの種族統一戦とBWでの対戦を一緒にやっていったものの,バトレボを続ける人も徐々に減っていき,実質BWの発売によりポケモンのひとつの遊び方が失われてしまったようにも思える. ただし,当時の種族統一勢の中には「バトレボ時代の頃をもう一度」という気持ちから,フレンド対戦によるネット大会や「統一オフ会」といったものが開催されるなど,数々の有志の方の力もあり決して種族統一の文化が消えることはなかった.そして,かろうじて残った種族統一という文化はプレイヤー人口を減らしつつも愛され,今に至る. ちなみに,BW発売で最終的にほぼ全ての種族統一勢はバトレボを離れてしまったが,Wiiのオンライン対戦サービス(厳密にはニンテンドーDSとWiiソフトのニンテンドーWi-Fiコネクションサービス)が終了[3]となる日,すなわちバトレボが終了する日の数週間前~数日前より,当時バトレボ配信をしていた,いや,その視聴者など多くの人が最後の日の最後の時まで押入れに入れていたであろうWiiを復活させ,ランダム対戦に潜りバトレボでの最後の種族統一戦を楽しんだ. そして,2014年5月20日23時.ポケモンというゲームに種族統一というひとつの文化をつくり,大きく成長させてくれた『ポケモンバトルレボリューション』のオンラインサービスは終了した. では,バトレボ時代の種族統一はなぜこのように盛り上がりを見せたのであろうか.そして種族統一には何が必要なのだろうか.「導入」「実践」「環境」「仲間」の4つの点に着目し,掘り下げてみることとする.

3.考察

3.1 導入

ポケモンに限らずではあるが,物事を始めるうえでは楽に始められるほうが良いに越したことはない.始めるためのハードルは低く,気軽に始められることで新規のプレイヤーは増えやすい. 種族統一であれば,ゲームクリアと孵化厳選まで行けば比較的始められやすいものとなっている.6匹厳選しなければならない通常PTとは異なり,同じポケモンを6匹揃えればよいからである.場合によっては通常PTを育成していた時の孵化余りでも問題ない場合すらある.1ROMに1匹しか捕まえられないポケモンで種族統一を組む場合はやや難易度が上がるとしても,ネットによる交換を活用することができるようになった第四世代以降では,第三世代以前に比べて,同じポケモンを6匹揃えるハードルは低くなる. また,種族が同じであるため,6種類のポケモンを考察するよりも1種類のポケモンをとことん突き詰めることになり,技構成など考察面においても難易度は下がる. ちなみに,バトレボ時代は種族値・努力値こそある程度認知されていたものの,個体値まではあまり厳選していないプレイヤーが多かった.中には三値(種族値・個体値・努力値)は気にせずストーリーをクリアし殿堂入りしたばかりのようなPT(俗にいう旅パ)で対戦環境に挑むプレイヤーもいたくらいである.もちろん,それらの三値を認識して勝率を上げていた人もいたし,そういった高レベルプレイをメインで配信をしていた人もいた.BW発売前くらいには,さすがに三値が広まり乱数調整なども話題になっていたが,それでも三値がないと絶対に勝てないゲームでもなければ,強く求められることもなかった.そういった,多くの知識を求められなくとも気軽に種族統一を組めた時代背景もまた,バトレボ時代の種族統一を始めるうえでのハードルの低さに繋がっていると考えられる. 「内発的動機づけ」という自分で進んで目標を立て達成感や満足感を得ようとする行動心理[4]があるが,このようにポケモンを始めるハードルが下がることは自ら好きなポケモンを育てたいという気持ちが生まれやすくなり,やりがいや楽しみを見出すことへと繋がるのである. 現在の最新作である第七世代では,バトレボ時代とは比べ物にならないほど厳選・育成環境が整っているため,ポケモン厳選・育成においては非常に楽に始められる環境となったと言える.しかし,種族統一に限らずポケモンの対戦において三値を求められることはバトレボ時代よりも多くなったといえる.厳選・育成環境がいくら整ってもPTを組んで対戦したいという気持ちにならなければ,なかなかポケモン厳選・育成したいという気持ちになりにくいのではないだろうか.

3.2 実践

ポケモンの育成が完了したら,対戦してさらにそのPTを考察・強化するのは一般的な流れであるが,種族統一の場合は6匹とも同じポケモンであるが故に他のPT考察とは少し違った側面もみられる. 対戦の勝率は使用するポケモンによって多少変わるものの,対戦である以上勝利を目標としていることに変わりはない.ただ,同じポケモンを使う以上,ポケモンや対戦環境の世代によっては勝つことよりも「1体でも多く倒し少しでも善戦すること」を目標にする場合もある.また,勝つことは難しくても「面白いプレイング」「魅せるプレイング」などを目指し,普段使わないような意外性のある技を使うこともある.さらに「どうしてそのポケモンでそんな型を無理に作ったんだ」と言われるような特性・技の組み合わせなどを使う「ネタ型」を使用することもある. もちろん,それらは全て「そのポケモン」をより深く,より考察した結果生まれた型であり,知れば知るほど面白い型や立ち回りが思いつくといった種族統一ならではの醍醐味ともいえよう.さらにそういった特殊な型も,残り5匹に紛れることでさらに価値は高まることとなる.突然予想外の型が出てくることで相手は混乱し,プレイミスや判断ミスをするかもしれない.また,うまくそのような型の意図したプレイングが決まれば満足感も高いであろう. さらに,そのポケモンに対してこだわりや愛着が生まれるプレイヤーも多く,それこそバトレボ時代であれば「〇〇の人」といった特定ポケモン使いの代名詞と呼ばれる人も数多くいた.自分の好きなポケモンと実践を積み重ね,その特定のポケモンに詳しくなり,通り名のようにそのポケモンの使い手だと呼ばれるようになれば,やはりプレイヤーとしては嬉しく,さらにそのポケモンを使うのがより楽しくなるのは自然な流れだといえる. そして,特定のポケモンを使用することやこだわりをもつことがポケモンをプレイする人にとって楽しい体験となるのは,メインストーリーで出会う数々の登場人物のように,プレイヤー自身もそのひとりになった気持ちになるからではないかと私は考えている. ポケモン本編の対戦を行ううえで,まず外せないのはメインストーリーであるが,メインストーリーでは様々なトレーナーが登場し,様々な「こだわり」を持ったトレーナーと出会うことになる.特に,ストーリーを進めるうえで「ジムリーダー」は避けて通れないトレーナーであり,ポケモン対戦をする人は知らず知らずのうちに「特定のポケモンへのこだわりを持つこと」を脳裏に焼き付けられているのではないだろうか.そういった体験を経た後に自身もこだわりを持ち対戦することは,メインストーリーで見たような数々の登場人物になった気持ちとなり,ポケモンの世界をより深く体験しているのではないかと考えられる.

3.3 環境

種族統一について語るうえで,絶対に外せないのはこの対戦環境についてであろう.前述したが,バトレボ時代は種族統一勢にとっては最高の環境だったといえよう.未だに「あの頃(バトレボ時代)のポケモンは本当に楽しかった」という声が多く聞かれるからである.動画投稿も盛んであったが,当時は真新しかった「LIVE放送で直接コメントの書き込みをしたら放送主がリアルタイムでコメントを返してくれる」というニコ生が始まり,それを観た多くの視聴者が関心を持ちポケモン対戦を始めた. また,HGSSの発売も,リメイク元の『ポケットモンスター 金・銀』世代まで遊んでいたプレイヤーにとって懐かしさを呼び起こすものがあり,復帰のしやすさに拍車をかけた.先述したように,三値の概念や厳選などの情報は広まっていたが,それらがポケモン配信を始めたばかりのプレイヤーに必須条件として求められるわけではなかった.むしろ少しずつそういった情報を視聴者から教えてもらい,学び,強くなる,そしてそれを見守る,そういった流れになる配信すらちらほら見かけた. 当時のポケモン環境は様々な好条件が重なり,非常に楽しくポケモンが遊べ,対戦にも挑みやすい環境であったと考えられる. では現在はどうであろうか.当時に比べると新規参入しにくい環境となっているのではないかと考える.その要因として,一つ目に「勝利への意識が強くなりがちな環境」,二つ目に「気軽に種族統一が楽しめないルール」が挙げられる. 種族統一でない普通の対戦環境においてみると厳選・育成環境についてはかなり改善が見られているものの,逆にそれが高個体の厳選などを求められてはいないだろうか.それは第五世代以降にレートが導入され,また勝敗が数字として見えてしまうことで「勝たなければならない」という気持ち,大げさに言うならば強迫観念を抱きやすくなった環境へと変わっていったからではないかと考えられる.レートや勝利数など,数字がはっきりと見えてしまうとどうしても勝利への意識は強くなりがちである.公式の方針として新たな機能の追加や競技性を高めるなどの意図があったにせよ,それがプレイヤーの選択の幅を狭める結果につながったのではないかと考えられる. さらに,種族統一の対戦環境で見れば現在の第七世代ではバトレボ時代と比べ大きく悪くなっている.当時は種族統一が使用できるランダムマッチングもあり,バトレボ放送も多数あり,といった状況で対戦環境は申し分なかったが,現在は種族統一の対戦をするにはプレイヤー同士で声を掛け合って対戦するか,有志の人が開いた大会に出る以外の方法がない状態である.その場合,ランダムマッチングではないため,お互いがどのポケモンを使うかをある程度分かっており,当時のような気軽さや真新しさは大きく失われている. ただ,第五世代での「レベル50調整必須」「赤外線通信によるフラットルール適用」しかできなかったときに比べると,現在の第七世代ではフレンド対戦であればフラットルールで種族統一戦をすることができるようになっていたり,公式インターネット大会でも「シャドースチール」「ウルトラスーパーハイパーチャレンジ」という種族統一勢も大喜びのルールの大会が開催され,種族統一熱が活性化されたりするなど,徐々に種族統一の対戦環境は改善されてきているとも言える.

3.4 仲間

ポケモンは元々通信して遊ぶように作られている[5]ため,出来ることなら一人ではなく色々な人と遊びたいものである.もちろん,あくまでも「出来ることなら」であるため,一人で遊ぶことが「悪」ではない.生活環境により一人でしか遊べない状況のプレイヤーもいるだろうし,一人でゆっくり遊びたいという人もいるだろう.とはいえ,種族統一は対戦がメインとなることもあり,一緒に遊べる仲間がいたほうが楽しいのではないだろうか. 以前はバトレボによるランダムマッチングにより,一緒に遊ぶ仲間がいなくても種族統一のプレイングは可能であった.もちろん,仲間を作ることで仲間同士の交換や考察など違った楽しみ方もできた.数多くのニコ生配信もあり,仲間をとても作りやすい環境であったと考えられる.しかし,今は「種族統一界隈」という形で種族統一勢仲間同士の繋がりが強いものの,新規参入しにくいという側面があるのも事実である. 仲間同士のつながりが強いことの要因として,ランダムマッチングどころかネット対戦すら満足にできなくなったバトレボからBWへの移行期により,種族統一勢同士のつながりがなくなってしまわないようにと統一勢が深いつながりを持ったことが主な理由で考えうるが,それにより,逆に新規参入しにくい側面を持ってしまったのは皮肉な話である.ただ,先述したように,現在は種族統一大会が一部プレイヤー主催で開かれており,ぜひそういった場からでも足を向けてもらえればいいのではないかと思う. また,公式が開催した大会2つをきっかけに種族統一勢とツイッターなどでつながりを持ち始めたプレイヤーもいる.決して仲間と一緒に遊ばなければならない遊びではないにせよ,現在ランダムマッチングができない環境である限り一緒に遊べる仲間を持てるようにすることはいいことだと考えられる.

他にも様々な理由はあるかもしれないが,「導入」「実践」「環境」の3点,ないし「仲間」を加えた4点の要素が種族統一にとって必要であると考えられる.

4.まとめ

種族統一は「ラッタの法則」さらに欲を言えば「コラッタの法則」が必要である.

ラ … 楽に始められる(導入) ッ … 強くなる実感が得られる(実践) タ … 対戦できるルールが整っている(環境)

さらに コ … 孤独でなく一緒に遊べる仲間がいる(仲間) があるとさらに望ましい.

決して現環境が「劣悪な環境」とは思わない.ただ,バトレボ時代が「整いすぎていた」のである.種族統一を衰退させた第五世代が悪いというわけではない.新たなソフトを出し,色々な遊び方を提案していくことはゲーム開発にとって必要不可欠なのだから. 昔は良かった,今はつまらないという考えを持つプレイヤーを否定するつもりはないが,もしバトレボ時代のまま止まっていたら第五世代以降のポケモンは生まれなかったわけで,第五世代以降のポケモンや,第五世代以降から種族統一を始めたプレイヤーを否定することにもなりかねない.それはやはり悲しいことである. 何より種族統一という観点から見れば,第五世代では一気に落ち込んだ環境も少しずつではあるが改善してきている.ポケモンというゲームはこれからも新しいシリーズが開発されていくだろう.だから種族統一がいつかまたあの頃のようにまた盛り上がる日が来ることを信じて気長に種族統一という文化を絶やさないことが,あの頃を体験した私たち種族統一勢の役割ではないかとも思う. そして最後に,ポケモンをつくる側である開発スタッフへ私が求めることは,ぜひ「ラッタ」あるいは「コラッタ」を胸にとどめて,種族統一を楽しむプレイヤーも楽しめるようなポケモンを今後も作り続けて欲しいということである.

種類調査

[1] キルタイムコミュニケーション (1996)『ポケットモンスター を遊びつくす本 赤(ポケットブックス)』キルタイムコミュニケーション. [2]“ボールカプセル”,https://wiki.ポケモン.com/wiki/ボールカプセル,2008 [3]“「ニンテンドーDS」および「Wii」ソフトの「ニンテンドーWi-Fiコネクション」サービス終了のお知らせ”,https://www.nintendo.co.jp/support/information/2014/0227.html,2014 [4] 齊藤勇 (2015)『今日から使える 行動心理学』株式会社ナツメ社. [5] 桝山寛 (2001)『テレビゲーム文化論 インタラクティブ・メディアのゆくえ』株式会社講談社.