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ShuzokuTouitsuJournal

種族統一論文とりまとめ用

ウルトラスーパーハイパーチャレンジにおけるアブソル統一の戦績と考察

アブソル統一パ カビ丸

1.序論

本項は2018年5月25日(金)9:00~5月28日(月)8:59の間に開催された公式インターネット大会『ウルトラスーパーハイパーチャレンジ』(以下,USHC)におけるアブソル統一の構築・戦績・考察をまとめたものである.

2.アブソルについて

初めに,アブソルというポケモンについて簡単に紹介しておきたい. 対戦におけるアブソルの基本情報を表1,2,3にまとめる.

表1.アブソルのタイプ・とくせい・体重

種族名 アブソル
タイプ あく
とくせい プレッシャー きょううん せいぎのこころ マジックミラー(メガシンカ時)
体重 47.0kg (けたぐり・くさむすび:威力60)

表2. アブソルの種族値

H A B C D S 合計
65 130 60 75 60 75 465

表3. メガアブソルの種族値

H A B C D S 合計
65 150 60 115 60 115 565

※左からHP・攻撃・防御・特攻・特防・素早さ・合計種族値を示す

表1,2で示した通り,アブソルはあくタイプのみで,攻撃力に特化した種族値をしている.反面その他の能力は突出しておらず,全体的に見れば低い水準にある.

しかし,表3で示すようにメガシンカによる特攻と素早さの大幅な補強に加え,物理特殊双方において広い攻撃範囲・先制技・反射技・豊富な補助技があり,種族統一としては高水準のスペックを誇るポケモンである.

元々の攻撃力が高いことと,「つるぎのまい」を使用できることにより,攻撃に努力値を振らずとも高い火力を維持できる.そのため,耐久面に努力値を回すことで相手の攻撃の多くを耐えることができるようになり,見た目の種族値以上の働きをしてくれる.

とはいえ,それでも耐久については低い水準であることは間違いなく,立ち回り一つ読み外すだけで一気に向かい風に晒されることも少なくない.様々な相手に対して戦える反面,それと同じくらい相手に対して負けるリスクを常に背負っている種族統一である.

アブソルに関する詳しい説明については「種族統一学会論文誌Vol.2」に寄稿した「アブソル統一総説」に譲る.

3.パーティ構築

今大会で使用したアブソル統一をまとめる前に,去年開催された公式インターネット大会『シャドースチール』でのアブソル統一についても言及したい.

『シャドースチール』は「ポケットモンスターサン・ムーン」にて2017年8月末に開催された種族統一が可能なインターネット大会であった.

私も『シャドースチール』に参加しており,同じくアブソル統一を用い,以下の構築で挑むことにした.

1.タスキカウンター型

持ち物 きあいのタスキ
性格 さみしがり
努力値 AS252 H4
とくせい きょううん
技構成  
カウンター フェイント
はたきおとす アイアンテール

三世代限定のカウンターアブソル.カウンター以外にはタスキ潰しの「フェイント」.高火力で持ち物無効化の「はたきおとす」.対フェアリーの「アイアンテール」.なお,特性「きょううん」については「とくせいカプセル」を使用して変更している.

2.こだわりスカーフ両刀型

持ち物 こだわりスカーフ
性格 むじゃき
努力値 A188 C132 S188
とくせい プレッシャー
技構成  
ふぶき だいもんじ
ばかぢから ストーンエッジ

両刀スカーフ型.他のアブソルにあくタイプの技を覚えさせているので範囲重視でこの技構成に.最速130族は抜けず,Lv.50時は最速125族抜き調整となっている.

3.メガシンカ型

持ち物 アブソルナイト
性格 ようき
努力値 H84 A172 B4 D12 S236
とくせい マジックミラー
技構成  
ふいうち ばかぢから
つるぎのまい はたきおとす

パーティのエースアタッカーとして採用.「つるぎのまい」後に高い素早さから「はたきおとす」や「ばかぢから」で相手を圧倒していくことが目的.耐久はガブリアスの「じしん」耐え,素早さは最速112族抜き.

4.とつげきチョッキ型

持ち物 とつげきチョッキ
性格 いじっぱり
努力値 H244 A108 D156
とくせい きょううん
技構成  
ふいうち ばかぢから
ストーンエッジ アイアンテール

対カプ・テテフを軸にしたチョッキ型.調整はカプ・テテフの「ムーンフォース」確定耐え.

5.対フェアリー型

持ち物 ロゼルのみ
性格 しんちょう
努力値 H116 A36 B4 D252 S100
とくせい きょううん
技構成  
みきり でんじは
アイアンテール がんせきふうじ

対特殊フェアリー型.調整は眼鏡カプ・テテフの「ムーンフォース」確定耐え.「がんせきふうじ」で最速95族抜き

6.対格闘型

持ち物 ヨプのみ
性格 わんぱく
努力値 H204 A52 B252
とくせい プレッシャー
技構成  
みきり じゃれつく
フェイント しねんのずつき

調整はいのちのたま持ちバシャーモの「とびひざげり」確定耐え.

大会結果は「31戦11勝20敗:勝率35.5%最終レート1300前半」という結果となった. ハッキリ言えば大敗である.一度もレート1500を超えることも無く,初日は負けを重ね続け,以降も同様の結果となってしまった. 『シャドースチール』における失敗は何だったのか,私はUSHCの開催に向けてパーティを組む際,まずその原因を洗うことにした.

まず,第一に「弱点に対する対策過剰」が挙げられる. 半減実持ちを含め,何かしらの弱点対策技を保有するアブソルが6匹中4匹おり,結果的に技範囲や火力を狭め,対応できないポケモンが増えてしまうという結果に陥った. それに加え,フェアリーを重視した構成にしたものの,そもそも「アイアンテール」で刺さるフェアリータイプがほとんどおらず,また,命中不安定で失敗に終わることも多く,刺さることはほとんどなかった.

第二は「スカーフ型の素早さ調整」である. 最速であれば130族まで抜くことが出来るのだが,『シャドースチール』で戦った個体はそれを抜くことが出来ず,その結果負けてしまった試合がいくつかあった.

第三は「火力不足」である. Z技持ちもおらず,タイプ一致技を搭載していない個体も多く,まともな火力を叩き出せるのがメガシンカのみという構成だったため,火力不足に大きく悩まされる結果となった.

その他諸々とあるだろうが,以上の三つが大敗を喫した大きな要因であると考える.この点を踏まえ,USHCでは以下のアブソル達で挑むことにした.

1.両刀タスキカウンター型

持ち物 きあいのタスキ
性格 おっとり
努力値 CS252 A4
とくせい プレッシャー
技構成  
ふいうち だいもんじ
カウンター れいとうビーム

両刀を採用した理由は今回のパーティが全体的に物理寄りだったため.対霊獣ランドロス・メガボーマンダ・ジガルデや物理アタッカー全般が対象.

2.物理最速スカーフ型

持ち物 こだわりスカーフ
性格 ようき
努力値 AS252 D4
とくせい プレッシャー
技構成  
ばかぢから メガホーン
はたきおとす ストーンエッジ

前回の反省を活かし最速物理を採用. 火力面を重視したため「じゃれつく」ではなく「メガホーン」を搭載.しかし,フェアリーを考えると「すてみタックル」でも良かったかもしれない.特性は素早さ判定用に「プレッシャー」.

3.特殊メガアブソル

持ち物 アブソルナイト
性格 おくびょう
努力値 B188 C100 S220
とくせい マジックミラー
技構成  
おにび イカサマ
だいもんじ れいとうビーム

今回構築を考える際,メガアブソル枠をどうするか悩んだ結果,通常のアブソルにはできないことをする,という結論に辿り着き,採用した個体.高い素早さから「おにび」で後続につなげ,下手に攻撃を上げようものなら「イカサマ」で仕留める.耐久は攻撃特化霊獣ランドロスの「じしん」確定耐え.素早さは最速110族抜き.

4.カクトウZ型

持ち物 カクトウZ
性格 いじっぱり
努力値 H236 A116 B44 D20 S92
とくせい プレッシャー
技構成  
ふいうち はたきおとす
ばかぢから つるぎのまい

初めはホノオZ等の特殊アブソルにZ技をさせようと考えていたが,タスキ型とメガ型で既に特殊技が揃っていたため,火力重視でこの型を採用.

5.とつげきチョッキ型

持ち物 とつげきチョッキ
性格 いじっぱり
努力値 HD252 A4
とくせい きょううん
技構成  
フェイント じゃれつく
しっぺがえし ストーンエッジ

対特殊全般に育成したアブソル.一匹は「フェイント」が欲しいと思い,安定感のあるこの型に搭載.「しっぺがえし」はH252振りメガゲンガーを確一にできるため,こちらを採用している.

6.こだわりハチマキ型

持ち物 こだわりハチマキ
性格 いじっぱり
努力値 H20 A252 B36 D108 S92
とくせい きょううん
技構成  
ふいうち ばかぢから
じごくづき ストーンエッジ

前回の火力不足を反省し,ある程度減った相手の後続を狩り,出来るだけ多く削ってこちらの後続へとつなげられるアブソルが欲しいと思い採用.瞬間火力はパーティ中最大で,メインウェポンにはZ持ちやメガシンカにも強い「じごくづき」を採用した.

「シャドースチール」との違いは弱点対策を完全に切り,単純火力の底上げを行った点である. フェアリー・かくとう対策を全て捨てたのは極端ではあったが,中途半端に対策するくらいならば,捨ててしまった方が選出も迷わないだろうと考え,この構築に至った.

4.戦績

以上の構築で全45戦のUSHCを行った. 戦績を以下にまとめる.

【総合戦績】

45戦19勝24敗2回線切れ 勝率44.4% 最終レート1400前半 最高レート1547

【対種族統一戦】

15戦12勝3敗 勝率80%

【対通常パ】

28戦7勝21敗 勝率25% ※28戦中マーシャドー入り6戦・ミミッキュ入り6戦

【対禁止伝説無し通常パ】

13戦6勝7敗 勝率46%

 総合で見ると負け越してしまったものの,去年に比べ勝率は上がっており,最高レートも1600には届かなかったものの,1500より上に到達,そして種族統一戦では勝率8割を叩きだすことに成功した.  無論マッチングの運などもあり,種族統一においてはアブソルにとって勝ち目のない相手と当たらなかったことは大きいが,それでも種族統一戦におけるアブソルのスペックを見せつけることが出来たと感じている.  また,種族統一戦以外ではほとんどマーシャドーとミミッキュに手痛い目に遭わされ,それらの入っているパーティに対する勝率は0%であった.  この点については弱点対策を切ったことへの弊害と言わざるを得ないが,マーシャドーはまだ可能性があるにしても,ミミッキュは対策をしようとすれば確実にパーティのバランスが崩れるため,仕方がなかったと考えている.  それ以外にも,ディアンシー,カプ・コケコ,カプ・テテフといった相手に当たることも多かった.アブソルにとって辛い相手に多く当たったのは,序盤にレートが上がっていき,しばらく1500前半~1400後半を彷徨っていたことが大きな要因だったと考えられる.  そして,マーシャドーなどの禁止伝説を抜いた戦績は勝率5割近くとまずまずの戦績を残せているため,今後禁止伝説抜きで同じような大会があれば,より高い勝率が望めるだろう.

5.対種族統一戦考察

今大会でアブソル統一は15戦もの種族統一戦をこなすこととなった.ここでは各種族統一戦の試合結果と,各試合内容を簡単に紹介していく.

表4.各種族統一戦戦績

1 ゲッコウガ 1-0 〇
2 クチート 0-2 ×
3 アーケオス 1-0 〇
4 ケンホロウ 2-0 〇
5 ダーテング 2-1 〇
6 クロバット 1-0 〇
7 コロトック 0-1 ×
8 プラスル 2-0 〇
9 グラエナ 1-0 〇
10 アブソル 1-0 〇
11 フライゴン 2-0 〇
12 シビルドン 1-0 〇
13 チラチーノ 0-1 ×
14 パラセクト 2-0 〇
15 アーケオス 2-0 〇

※右列は”自ポケ数-相手ポケ数 勝敗”を示す

【1.ゲッコウガ 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

スカーフ・チョッキ・ハチマキ

B) 試合内容

種族統一戦初戦は,種族統一の中でも高いスペックを誇るゲッコウガ統一. ゲッコウガはフレンド対戦で一度相手にしており(きずなへんげゲッコウガ統一という特殊なものであったが),その時は初手の技外しが大きな要因となり,敗北を喫していた. 今回はそのリベンジも兼ねて初手にスカーフ型を持っていき「メガホーン※」を選択,そのまま一匹目を落とす.次のゲッコウガがスカーフ持ちだったため,相手の「とんぼがえり」で一匹目のアブソルがダウン. こちらがチョッキ型を選出すると,相手のゲッコウガは幸いにも特殊型だったため,そのまま二匹目を突破. 最後のスカーフ型ゲッコウガに「フェイント」を当てた後,相手の「とんぼがえり」で落とされるが,「へんげんじざい」でむしタイプになってくれたおかげで三匹目の鉢巻アブソルの「ふいうち」で見事勝利を飾った.

C) まとめ

チョッキ型に物理を合わせられていれば敗北していた可能性は十分にあり,相手の対面に上手く合わせられたことが大きな勝因となったと考えられる. また,スカーフで上から弱点を突く他,「へんげんじざい」でタイプが変わればあくタイプの技でも攻められ,相手の耐久力の面も相まって比較的対処しやすい相手であった.

※命中安定の「ばかぢから」ではなく「メガホーン」を使った理由は後続が「かげうち」によって「ばかぢから」を無効化してくる可能性を防ぐため

【2.クチート 結果:敗北】

A) 選出したアブソル

メガ・タスキ・カクトウZ

B) 試合内容

二戦目は何度も対戦経験のあるクチート統一. 全ては初手,メガアブソルが「おにび」を外し,相手のクチートが「みがわり」を張ったことにより決した. その後「きあいパンチ」による蹂躙をされ,なんとか一匹持っていくも,次に登場したメガクチートによりあえなく敗北.

C) まとめ

運が味方しなかった試合であったが,相手の初手のクチートが「ひかりのこな」持ちだったとのことで,ある意味相手の思惑通りとなった試合であった. また,悠長に「おにび」せず,特殊耐久の低さに着目し,素直に「だいもんじ」で攻め続けるべきであった.

【3.アーケオス 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

メガ・タスキ・スカーフ

B) 試合内容

三戦目はアーケオス統一,完全初見の種族統一だった. 初手はメガアブソルで先手を取り,相手の「よわき」を発動させたものの,「おいかぜ」によるサポートをしっかりこなされてしまった. そのまま次のアーケオスに落とされた後,こちらはタスキ型の「カウンター」で二匹目を突破.その後,三匹目を「ふいうち」で削り「よわき」を発動させて退場. 最後にスカーフ型のアブソルが登場したタイミングで相手の「おいかぜ」が切れ,先手を取れると思ったが,相手がスカーフ対策のスカーフ型を最後に持ってきており,「もろはのずつき」を上から撃たれる.しかし,「よわき」発動のお蔭でギリギリ耐え,勝利を勝ち取った.

C) まとめ

勝利したものの,相手の選出の上手さが表れ,スカーフ対策スカーフへの警戒を強めていく必要があると実感した. とはいえ,相手の特性「よわき」を「ふいうち」一つで発動させられる機会が多く,如何にして相手の性能を落として攻めていくかが勝利のカギとなることは,疑いようはないだろう.

【4.ケンホロウ 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

メガ・スカーフ・カクトウZ

B) 試合内容

四戦目はケンホロウ,こちらも初見の種族統一. 初手のケンホロウは「おいかぜ」+「レッドカード」で退いていき,二匹目のケンホロウに初手のメガアブソルが落とされる. その後,「おいかぜ」を切らしたタイミングでスカーフアブソルを繰り出し,「ストーンエッジ」を連打することで,そのまま勝利を収めた.

C) まとめ

三匹目のケンホロウが物理受けで「フェザーダンス」持ちであったため,スカーフ型の「ストーンエッジ」が急所に当たらなければ試合の結果は分からなかっただろう.運に救われた試合であった. ケンホロウ単体の性能も,メガシンカをしなければ素早さが負けており,攻撃力も低くはない. その上先述した通り「フェザーダンス」も扱えるため,通常のアブソルにとっては思いの外戦いにくい相手であった. ケンホロウの上を取れ,「フェザーダンス」も効かないメガアブソルをもう少し大事にしておければ安心感も違っただろう.

【5.ダーテング 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

メガ・チョッキ・タスキ

B) 試合内容

五戦目はダーテング統一,こちらも初見. 初めに来るとしたら「にほんばれ」+「だいばくはつ」であると予測し,メガアブソルで「おにび」をし,予測通り使ってきた「にほんばれ」後の「だいばくはつ」を耐え,二匹目のダーテングの型を確認して退場. 特殊型であることを確認し,チョッキ型アブソルの「じゃれつく」+「フェイント」で残りのダーテングを倒し,最後は相手の降参により勝利を飾る.

C) まとめ

相手の思惑をしっかり読み取り,「だいばくはつ」を受けられる「おにび」持ちのメガアブソルを先頭に,後続に特殊には「チョッキ」,物理には「タスキ」を用意し,メガアブソルで二匹目の物理特殊を判別してきっちり対応できた点が勝利に導いた.

【6.クロバット 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

スカーフ・タスキ・ハチマキ

B) 試合内容

六戦目はクロバット,こちらは何度か対戦経験のある種族統一. 今回のアブソル達は物理耐久に回している個体が少なく,如何に上から叩き,倒していくかが焦点となった. そのため初手からスカーフで叩きにかかったのだが,「ストーンエッジ」を選択するつもりが「はたきおとす」を選択してしまうというミスを犯す. しかし,相手の初手が「こだわりハチマキ」持ちで「とんぼがえり」を使い,結果としてスカーフ型が攻撃を耐えた上,次のクロバットの持ち物も落とすことに成功し,退場した. その後,タスキ型で二匹落とした後「ふいうち」で三匹目を削って退場し,ハチマキ型の「ふいうち」でトドメを刺して勝利となった.

C) まとめ

 物理型の多いクロバット相手に対し,こちらで物理耐久に努力値を多く回しているのはメガアブソルのみであったが,素早さで負けていることもあり,対面の段階で選出の可能性は捨てていた.  耐えることよりも先に攻撃し,重い一撃を加えることを重視し,今回の選出に至った.  試合内容は選択ミスをしてしまったものの,それが結果としていい方向に繋がった試合であった.こだわりハチマキ型の削れた相手に対する制圧力を加味して安定した削り技で攻めていくことも必要であると実感した.  

【7.コロトック 結果:敗北】

A) 選出したアブソル

メガ・スカーフ・タスキ

B) 試合内容

七戦目はコロトック,初見の種族統一. 初手のメガアブソルが「おにび」を外し,相手の「カクトウZ」をくらって落ちたことが全ての始まり. その後,スカーフ型の「ストーンエッジ」で一匹持っていくものの,再び「ストーンエッジ」が外れ,それが原因となって最終的に敗北を喫した.

C) まとめ

命中不安定の技に頼った結果であることと,コロトックの耐久を考慮し,ハチマキ型で攻めていく方が良かったのかもしれない.相手の耐久力を読み切れなかったことが敗北に繋がった.

【8.プラスル 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

チョッキ・カクトウZ・ハチマキ

B) 試合内容

八戦目はプラスル,こちらも初見の種族統一. 一匹目をチョッキ型の「しっぺがえし」+「フェイント」で倒し,「アンコール」警戒でカクトウZ型に交代.その後,「カクトウZ」で二匹目を落とし,三匹目をチョッキ型の「しっぺがえし」で落として勝利を収めた.

C) まとめ

メガアブソルは素早さでは勝っているが,プラスルに対する有効打は無く,さらに特殊耐久については脆いため,今回選出に至らなかった.しかし,二匹目のプラスルが「Zうたう」をしてきたため,特性「マジックミラー」で反射できるだけでも安心感は違ったかもしれない.また,チョッキ型の耐久力が活きた対戦でもあった.

【9.グラエナ 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

メガ・スカーフ・カクトウZ

B) 試合内容

九戦目はグラエナ,こちらも初見の種族統一. 特性「いかく」や,「じゃれつく」等の攻撃があり,油断のならない相手であったため,初手は「いかく」を食らっても怖くないメガアブソルを置き,「おにび」を選択. 「だいもんじ」を一度外すも,相手も「じゃれつく」を外したため何とか一匹目を突破. 相手の二匹目の「はやあし」型に先手を取られ,メガアブソルは落とされたものの,素早さの勝るスカーフ型で撃退.その後,三匹目の物理受けグラエナに落とされた後,三匹目の「カクトウZ」で勝利を収めた.

C) まとめ

二匹目のタイミングで物理受けグラエナに引かれていた場合,こちらが敗北していた可能性も十分にあったため,余裕のある勝利とはいかなかった. また,「じゃれつく」警戒の「おにび」を使用したが,「はやあし」+「からげんき」の可能性があったので試合を振り返ると,やや軽率だったと言わざるを得ない. とはいえ,「からげんき」よりも「じゃれつく」の方がダメージ量が大きいため,悪い選択肢ではなかったかもしれない.

【10.アブソル 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

 タスキ・ハチマキ・スカーフ

B) 試合内容

記念すべき十戦目はアブソル統一,こちらは過去何度か戦ったことのある種族統一. 当たった瞬間大半の人は喜ぶであろうミラーマッチだが,私の心境は冷や汗ダラダラであった. アブソルに対する有効打は揃っているものの,対アブソル用の構築ではないため,負ける可能性を十分に孕んでいたからである. とはいえ,弱点を突くに越したことは無く,初手はスカーフ警戒のタスキ型アブソルを選出するが,相手の初手が「イカサマ」を使用したため「カウンター」をギリギリ耐えられ,そのまま落とされることとなった. 二匹目のハチマキアブソルで「ばかぢから」を使い,一匹目と二匹目のタスキを潰してから,ラストのスカーフ型の「メガホーン」で残りを倒し,勝利を収めた.

C) まとめ

対アブソル統一に関しては如何に殴り勝つかが勝敗を分けることになるため,相手がアブソルに対する有効打が少なかったことが勝因となった. しかし,最後の一匹同士になった時,スカーフ型の体力が次の「ふいうち」を耐えられない所まで減っていたため,最後に「ふいうち」持ちがいる,もしくは「ふいうち」を選択されていた場合,こちらの敗北となっていたため,快勝とはいかなかった.

【11.フライゴン 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

タスキ・メガ・チョッキ

B) 試合内容

十一戦目はフライゴン統一,対戦経験のある種族統一. 初手は相手のスカーフ等を警戒し,タスキ型アブソルを選出. 相手の初手は「おいかぜ」を使用し,こちらは「れいとうビーム」+「ふいうち」で一匹目を落とす.二匹目のアブソルは「ばくおんぱ」をタスキで耐えて「れいとうビーム」で二匹目のフライゴンを突破. 相手の三匹目はスカーフ型で,「いわなだれ」でタスキ型アブソルが落とされるが,後続のメガアブソルの「れいとうビーム」で勝利を収めた.

C) まとめ

こちらに氷技持ちが多かったため,一体一体落としにかかることにそれほど苦労はなかったが,最後に相手のスカーフ型の「いわなだれ」で怯みが続いた場合,後続に「ふいうち」持ちがおらず,一気に不利になった可能性があるため,選出に甘さはあったと考えられる. また,当初警戒していた「フェイント」持ちはおらず,それを使われていた場合,試合がどう転ぶか分からなかっただろう.

【12.シビルドン 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

ハチマキ・メガ・カクトウZ

B) 試合内容

十二戦目はシビルドン統一,初見の種族統一. こちらが弱点を突くことは出来ないものの,悪技が等倍の分,如何に火力攻めをしていくかが焦点となった. 物理か特殊か分からないため,初手は「おにび」を使えるメガではなく,ハチマキアブソルを選出. 「じごくづき」で9割ほど削るが,相手は「ドレインパンチ」を使用.これをギリギリ耐えて撃ち合いを制し,相手の二匹目にも「じごくづき」をして体力を半分以上削ったところで退場. 相手が「かみなりパンチ」を使用したので,後続はメガアブソルを選択し,「おにび」で火傷させる.その後,「だいもんじ」と「れいとうビーム」で二匹目を落とし,三匹目を「イカサマ」で削り退場.ラストは「カクトウZ」でトドメを刺し,勝利を収めた.

C) まとめ

こだわりスカーフ持ちが万が一いた場合は怖かったものの,基本アブソルより遅いため,素早さに大きく割いていない火力重視の選出を行った. 先述した通り,シビルドンに対しては弱点を突けないものの,並程度の耐久とあくタイプ等倍という相手であったため,高火力のごり押しが通る相手であった. 「ドレインパンチ」で弱点を突かれたものの,素の素早さが勝っていた点と,相手の攻撃をアブソルがギリギリ耐えてくれたおかげで「ドレインパンチ」の回復量を抑えて退場できた場面も多く,後続のアブソルの負担を少なくさせることができた.

【13.チラチーノ 結果:敗北】

A) 選出したアブソル

カクトウZ・スカーフ・ハチマキ

B) 試合内容

十三戦目はチラチーノ統一,最早何度戦ったか分からないくらい戦っている種族統一. 初手「カクトウZ」を選択したものの,「つぶらなひとみ」を使われて耐えられてしまい,そのまま一匹目を落とされる. その後,スカーフ型の「はたきおとす」で一匹目を倒したが,次に出てきたチラチーノの「ノーマルZ」で落とされてしまう.その後は,ハチマキアブソルの「ふいうち」に頼らざるを得ず,その「ふいうち」すらきっちり対処され,PPを切らされ敗北.

C) まとめ

チラチーノというポケモンの性質上,下手にタスキ型を持っていけず,また,メガアブソルもわずかに素早さを落としている分,最速チラチーノと同速対決もできなかったため,スカーフ以外はなるべく高火力で叩くことだけを意識した.しかし,実際「スイープビンタ」をされることは無く,タスキを持ってこないだろう,という相手の思惑にまんまと嵌ってしまったように感じる. 立ち回りに関してもスカーフ型で一匹処理した後,一度引いて「ばかぢから」にシフトしておけばまだ勝てる見込みがあった.「ノーマルZ」を予想できず,そのまま攻めたことが敗北に繋がった.

【14.パラセクト 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

タスキ・メガ・ハチマキ

B) 試合内容

十四戦目はパラセクト統一,初見の種族統一. 出会った瞬間ひたすら「だいもんじ」で焼くことだけを意識した.実際,最初の2ターンで「だいもんじ」で二縦した後,最後の一匹を命中安定の「れいとうビーム」で倒して勝利を収めた.

C) まとめ

素早さが勝り,四倍弱点を突けるという点で大きくアドバンテージを取れたことが勝因となった. また,「だいもんじ」持ちが二匹いたことで,一匹落とされてもリカバリーで利いていた点も大きい. しかしコロトック戦同様,技外しを繰り返せば一気に負けに転じる可能性があったため,慢心のできない試合であった.

【15.アーケオス 結果:勝利】

A) 選出したアブソル

メガ・タスキ・ハチマキ

B) 試合内容

最終戦は二度目のアーケオス統一,最初の時と別人であった. 前回の反省を踏まえ,スカーフ型ではなくハチマキを選出.しかし,前回と違い「おいかぜ」は使わず,純粋に攻めてくるアーケオスが多かった. 二匹目に致命傷を与えたタイミングでメガアブソルが落ちたため,タスキ温存を兼ねてハチマキ型を出し,「ふいうち」で二匹目を落とす. 三匹目が物理受けで「どくどく」を使用し,「ふいうち」を透かされたため,早急に交代.ハチマキを解除してタスキ型を場に出すと,相手が「そらをとぶ」を使ってきたため,「カウンター」でトドメを刺し,勝利を飾った.

C) まとめ

アーケオスより素早く弱点のつけるメガアブソルと,物理相手には「カウンター」,そうでなければ「れいとうビーム」を扱え,確実に一撃は耐えてくれるタスキ型は対アーケオスに外せない存在であった. 万が一,相手に「ステルスロック」持ちがいてもメガアブソルでそれを防ぐことは出来たため,タスキ持ちを安心して選出できた点も大きい. 試合自体は,今回は逆にスカーフ型を持ってきた方が動きやすい相手であったため,種族統一の使い手次第でどの持ち物が刺さるのか変わってくることを改めて実感した試合であった.

~種族統一戦考察まとめ~

種族統一戦は最終的に勝率80%と,満足のいく結果を得られたものの,振り返ると対戦相手の種族統一は全て,アブソルにとって有利とも不利とも言えない相手であり,それ故の結果であったと考えられる. メタを張らなければならない種族統一と当たっていれば結果はまた違っていただろう. とはいえ,メタの必要のない相手に対するアブソル統一のスペックの高さと,今回の構築が上手く噛み合った結果であると考えられる.

6.対通常パ戦考察

通常パとの戦績は種族統一と比べると大幅に勝率を落としているものの,内容自体は悪くない試合も多かった. 種族統一以外の相手とも戦えることが今大会の醍醐味の一つであると私は考えているため,ここでは一部の試合について取り上げ,立ち回りについて考察してく.

【1.ガブリアス・パルシェン・メガリザードンX】

A) 選出したアブソル

メガ・スカーフ・カクトウZ

B) 試合内容

USHC一戦目に遭遇した対戦相手.結果は勝利. ガブリアスやギャラドス等が選出画面にいたため,それらを機能停止にできるメガアブソルを初手に選出. 最初に現れたガブリアスを「れいとうビーム」で仕留める.次に現れたパルシェンに対し,「おにび」で「からをやぶる」の攻撃力上昇分を帳消しにしつつ可能性のあった「きあいのタスキ」を潰し,次の「つららばり」を耐え,「イカサマ」で仕留める. 最後に現れたリザードンに「イカサマ」を撃ち退場し,後続のスカーフ型の「ストーンエッジ」と相手の「フレアドライブ」による反動でメガリザードンXを落とし,勝利を収めた.

C) まとめ

初手対面の噛み合いと二匹目にパルシェンが出てきてくれたことが幸いし,スムーズにメガアブソルだけで二匹処理出来た所が大きい. 反面メガリザードンXが「りゅうのまい」や「ニトロチャージ」などで素早さを上げてきた場合は一気に敗色濃厚となっていたため,三匹目に「きあいのタスキ」か「こだわりハチマキ」の個体を選出すべきだった.

【2.グソクムシャ・ミミッキュ・メガリザードンX】

A) 選出したアブソル

タスキ・メガ・ハチマキ

B) 試合内容

アブソルの苦手を固めたような選出.結果は敗北. 初手にグソクムシャかミミッキュのどちらが現れるかを読み外した瞬間,一方的な試合が展開されることが想像に難くない. 今回は「であいがしら」と,特性「ききかいひ」の性質を踏まえグソクムシャ先手と読んでタスキ型を選出. 読み通りにグソクムシャが初手に現れ,相手の「であいがしら」に「カウンター」を合わせグソクムシャを突破すると,次のミミッキュの「かげうち」により退場. 二匹目のメガアブソルで「おにび」を使い火傷を負わせるものの,「ミミッキュZ」を使われ,「かげうち」圏内まで体力を削られる. 三匹目が「こだわりハチマキ」ということもあり,一度安全にミミッキュの「ばけのかわ」を剥がすべく,交代し,「かげうち」と「じゃれつく」を耐えて相手の「ばけものかわ」を剥がすと再びメガアブソルに交代し,技の固定をリセット.その後「ふいうち」でミミッキュを落とすものの,最後のメガリザードンXに「ふいうち」を耐えられ敗北となった.

C) まとめ

最後の「ふいうち」が急所に当たっていれば落とせていたものの,やはり上手くはいかなかった.しかし,最後まで勝ち筋を残すことはできていた. また,グソクムシャ突破後のタスキアブソルを「かげうち」読みで交代し,温存していれば勝てる可能性が残されていたかもしれない. とはいえ,手持ちの中での選出は悪くなく,初手対面もしっかり読めていたため,負けはしたものの,次に繋がる試合内容となった.

【3.キリンリキ・ムーランド・キテルグマ】

A) 選出したアブソル

メガ・タスキ・カクトウZ

B) 試合内容

対ノーマル統一戦.結果は勝利. 初手にキリンリキが来ることはまったく予想できず,メガアブソルの「おにび」を外した後「マジカルシャイン」でまんまと仕留められてしまう. 二匹目のタスキ型アブソルの「ふいうち」でキリンリキを落とすと,二匹目のムーランドに対し「かたきうち」をタスキで強引に耐え「カウンター」で落とす. 最後に現れたキテルグマに「だいもんじ」を撃って退場した後,「カクトウZ」でトドメを刺し,勝利を飾った.

C) まとめ

試合そのものはスムーズに進んだものの,初手をまったく予想できていなかった分,しっかり出し抜かれてしまった感があり,「アブソル相手に出てこないあく弱点はほとんどいない」という自身の教訓を改めて噛み締めた試合であった.

~ポケモン別勝率~

 今回アブソル統一によく選出されたポケモンとアブソルが苦手なポケモン毎の勝率をまとめてみる.

【1.マーシャドー 選出された数6】

A) 戦績

6戦0勝6敗 勝率0%

B) 解説

元々苦手な相手であった上にマーシャドーの攻撃を耐えられるアブソルがタスキ型しかおらず,そのタスキ型もマーシャドーに対する有効打を持ち合わせていなかったため,結果としてハチマキ型で「ふいうち」し,急所に当たればそれで落とし,不可能であれば次の個体で「ふいうち」ないし,スカーフ型の攻撃で落とすという戦法を取らざるを得なかった. きあいのタスキ型に「サイコカッター」等の対格闘技があれば変わっていただろうが,相手もきあいのタスキだった場合はどちらにせよアブソル二匹で対処しなければならなかっただろう.

【2.ミミッキュ 選出された数6】

A) 戦績

6戦0勝6敗 勝率0%

B) 解説

特性「ばけのかわ」によるみがわり効果に加え,フェアリータイプとアブソルより高い素早さを持ち合わせているため,非常に戦いにくい相手. 対処をするならば,ロゼルのみを持たせ,「がんせきふうじ」と「アイアンテール」を搭載する必要があり,そのためだけに用意をする余裕が今回は無かった.そのため,メガアブソルの「おにび」で火力を落とし,生き残っていれば「れいとうビーム」で「ばけのかわ」を剥がし,次のハチマキ型の「ふいうち」で落とすという,こちらも二匹以上を使ってようやく落とせるという戦法を取らざるを得なかった. 一匹に使う労力が大きい分,それが敗北に繋がり,結局ミミッキュ入りのパーティには一度も勝利を収めることは出来なかった.

【3.ジガルデ 選出された数6】

A) 戦績

6戦1勝5敗 勝率16.6%

B) 解説

戦績だけ見るとジガルデ入りのパーティにことごとく敗北しているのだが,実際はジガルデ以外にミミッキュやマーシャドー,ゴウカザルやバシャーモといったアブソルの天敵が集まっていたことが敗因として大きい. ジガルデそのものの対処はメガアブソルやタスキアブソルで「れいとうビーム」を使う,タスキアブソルの「カウンター」で強引に持っていく,といった方法で対処は比較的容易であった. しかし,ガブリアス以上の耐久力は伊達でなく,努力値を削っているとはいえメガアブソルの「れいとうビーム」を耐える程度の耐久力はあったため,油断はならなかった.

【4.リザードン 選出された数4】

A) 戦績

4戦2勝2敗 勝率50%

B) 解説

戦績では勝率50%とそこそこであるが,負けた試合には全てミミッキュがいたため,要因としてはそちらが大きいか. 出てきたリザードンは全て「メガリザードンX」で,アブソルの一撃を確実に耐えてくる耐久力と物理による高火力が曲者であった.しかし,「ストーンエッジ」や「カウンター」など,対処可能な技を多く搭載していたこともあり,思いの外リザードン単体に対して苦戦を強いることは無かった.

【5.ゲッコウガ 選出された数4】

A) 戦績

4戦1勝3敗 勝率25%

B) 解説

戦績は決して良くはないものの,その背景にはマーシャドーやマギアナ,ミミッキュなどが入ったパーティが2戦ほどあり,そちらの要因が大きい. 残りの一戦についても,初手スカーフ型がジャローダ相手に「メガホーン」を外したことで一気に崩れてしまったことが響いていた. 勝利した試合については,初手スカーフ型の「ばかぢから」で仕留めるというものだった. 上を取られると対処しにくいが,逆に上さえ取れれば左程苦労しない相手ともいえる. なお,この戦績は種族統一戦を含めないものとする.

【6.ディアンシー 選出された数2】

A) 戦績

2戦0勝2敗 勝率0%

B) 解説

フェアリー対策を完全に切った関係で,やはりこのポケモンも辛くなってしまった. 特に「ふいうち」半減な上にメガシンカによる素早さ上昇が厄介で,成す術無く「ムーンフォース」で落とされていく場面が多かった. スカーフ型に「アイアンテール」があれば対処できたのだが,そもそもディアンシーの存在を頭に入れていなかったため,どうしようもなかった.

【7.カプ・テテフ 選出された数2】

A) 戦績

2戦0勝2敗 勝率0%

B) 解説

チョッキ型に「アイアンテール」があれば比較的対処しやすい部類であったのだが,去年もそれで技をことごとく外し,失敗に終わっていたので対策を切ったポケモン. 幸い物理耐久が低いため,チョッキ型の「しっぺがえし」からスカーフ型の攻撃で落としにかかれたため,ディアンシーなどと比べると対処しやすい部類にあった. しかし,後続がアシレーヌだったりディアンシーだったりと,後続に恵まれず,全ての試合で敗北を喫した.

【8.カプ・コケコ 選出された数1】

A) 戦績

1戦1勝0敗勝率100%

B) 解説

カプ・コケコ自体は入っているパーティにいくらか遭遇したものの,思いの外選出された試合は少なかった. 選出された試合に関してもハチマキ型とチョッキ型の二匹で対処する必要があったが,後続がハッサム・ジガルデと,タスキ型アブソル一匹で対処できる組み合わせであったため,勝利を飾ることが出来た. 物理耐久は並程度であったため,ある程度火力でごり押せる部分があるのは幸いであるが,アブソルのメインウェポン・サブウェポンの多くを半減にするため,やはり天敵と言ってもいい相手である.

~対普通パ戦考察まとめ~

全体を振り返ってみると,通常パ相手であっても相手の使用ポケモン次第では十二分に渡り合えており,技外しや押しミスなどをしなければもっといい試合が取れていたものもあっただろう(逆を言えばそれだけリカバリーの利かないものだということだが). しかし,そうは言っても,今回の環境にはミミッキュにマーシャドーなど,アブソルにとって本気で対策しなければ勝ち目のない相手が多く,それらのポケモンに対する勝率はほとんど0%といっても良かった. 反面,そこそこ数が見受けられたジガルデや,使用していた方が多いであろうネクロズマには強く,元々タイプ相性が有利であったネクロズマは出てくることもほとんどなかった. また,ポケモン別での戦績を見ると,完全に手も足も出なかったディアンシーを除き,先述したポケモン達については倒すこと自体は出来ていた.しかし,残ったアブソルと相手の後続の噛み合わせが悪かった結果,敗北を喫したというのがほとんどであった. 逆にカプ・コケコの時のように,その一匹の対処にアブソルが二匹必要になっても,後続次第では勝利を収めることが出来たため,この辺りはマッチングの運と言わざるを得ない. とはいえ,スカーフ型かチョッキ型に「アイアンテール」を一つ搭載するだけでも,少なくともカプ・テテフやディアンシーは対処しやすくなるため,多少結果は変わっていたかもしれない.

7.パーティ総括

全試合を消化し,今大会のパーティについて個体ごとの総括を行う.

【1.両刀タスキカウンター】

 物理高火力のポケモンや,特殊技四倍弱点が相手パーティにいた場合に積極的に選出し,全体の中でも高い使用率を誇った. 種族統一戦でも15戦中9戦,選出率60%と高く,ほとんどの対戦で一匹以上倒す仕事をこなしくれた.  反面,マーシャドーに対する有効打はまったく無く,エスパー技の一つでもあればマーシャドーへの対処も少しは楽になったかもしれない.

【2.物理最速スカーフ】

 アブソルより速い相手が多かった場合の選出率は高く,こちらも無くてはならない存在であった.  「ばかぢから」と「メガホーン」の両立はやや攻撃範囲を狭めるものの,能力を落としたくない状況には「メガホーン」の存在は重宝し,何度か活躍の機会があった.  しかし大事な時に技を外し,敗北に導いた点や,「じゃれつく」を搭載していればこちらもマーシャドーに対する打点となったため,惜しい所であった.

【3.特殊メガアブソル】

 アブソルにはできないことを任せるために,あえてエースアタッカーでないメガアブソルを起用した所,先述したように対ガブリアス・パルシェンに対して二縦,物理型相手に対する「おにび」による機能停止など,メガアブソルのスペックを活かせた試合が多かった.反面,このアブソルも技外しによる敗北が多かったため,この子には反省していただきたい所存.

【4.カクトウZ】

 瞬間火力と積み技持ちが必要と思い採用した個体であったが,三日目までカクトウZを使うことがほとんどなく,更に「つるぎのまい」は今大会で一度も使用する機会がなかった.  積みの起点を作る必要があっただろうが,そもそも積む必要のない状況が多く,「カクトウZ」を放つだけで十分であったため,決して悪いことではなかった.

【5.とつげきチョッキ】

 特殊型が出てくる可能性の高い種族統一にはほぼ必ず選出されており,安定した活躍を見せてくれた.  反面,物理耐久は低く,唯一の「フェイント」持ちであるが,物理型の多いパーティには選出できずにいた.それでも技構成・持ち物含め,今大会で最も信頼できるアブソルであった.

【6.こだわりハチマキ】

 当初は「レッドカード型」など変わり種を最後の枠に採用しようと画策していたが,パーティ全体を俯瞰した際,瞬間火力が足りないと気付き,攻撃特化されているハチマキ型を採用した.特にこれといった仮想敵を設けていなかったが,それが逆に幸いし,残り一匹に困ったらとりあえず選出できる汎用性の高さが光った.  小回りの利かなさはあるものの,ある程度削れた相手を一気に「ふいうち」で刈り取れる火力の高さに何度も助けられ,思いつきで組み込んだ中では,予想以上の戦果を挙げてくれた.

8.総括

戦績を見ると,去年と比べて勝率そのものと最終レートは上がっているものの,実はそれほど戦績が良くなっていたわけではない.  しかし,私自身の感触として,去年の『シャドースチール』と比べると良好であったと感じている.  『シャドースチール』以上に種族統一と対戦でき,且つその戦績も良かったことは一因であるが,それ以上に通常パに対して“戦えた”という結果が残せたことが大きい.  無論,対策を切った相手に対し,何もできずに一方的に蹂躙された試合もいくらかあったが,苦手な相手がいた試合であっても勝利を収めることもあれば,あと一歩まで詰め寄った試合も存在した.  事実,禁止伝説を除いた試合の勝率は46%と五割近い勝率を残し,バトレボ時代は普通に考えられていた“対通常パ”を意識した構築や戦いが,今の世代になってもアブソル統一でできており,そして通用していた.対通常パに対し,何もできない試合しかなかった,ということが無く,『シャドースチール』以上に満足のいく試合内容をこなすことができたことは嬉しく思う.  またこのような種族統一をランダム対戦で戦える機会があれば反省点を踏まえ,今大会以上の結果を残していきたい.