ウルトラスーパーハイパーチャレンジ Let’s Go! ジュカイン
ジュカイン統一パ nizi
1.はじめに
本稿では,公式インターネット大会『ウルトラスーパーハイパーチャレンジ(以下,USHC)』に参加したジュカイン統一に関する解説を行う.
USHCに参加した時点では,本誌への参加を予定してなかったため,種族統一戦以外のバトルビデオは削除してしまっている.そのため,対戦ごとの詳細は統一戦に絞って記載することとする.論文としての精度が甘めであることをあらかじめご了承願いたい.
また,対戦内容については,『ポケモンバトルレボリューション[1] (以下,バトレボ)』の時からの暗黙の了解である「ラス1催眠の禁止」「重複催眠の禁止」等に抵触するプレイを行なっているが,こちらもあらかじめご了承願いたい.
2.USHC全体の考察
詳細な記録が残っていないため体感になるが,種族統一戦を含めての勝率は5割ほどになっている.バトレボの頃よりも強力なポケモンが増えているというのもあるが,通常のパーティとの対戦は厳しくなってきていることを実感した.また,大会で使用するジュカイン統一を登録した際に,仮想敵に定めるポケモンを見誤ったことは反省点である.以下に見誤った点の詳細を記載する.
・ミミッキュが選出されない
特性「バケのかわ」に加えて「トリックルーム」等のジュカインに対して有利な技を覚えるため,必ず選出されるだろうと思っていたポケモンだったが,実際には2回ほどしか選出されなかった.ジュカイン統一に対しては、純粋にタイプ相性の良いポケモンで迎え撃ってくるという印象を受けた.伝説のポケモン等も使用できるUSHCのルールの性質として,パーティの合計種族値が相手も自分も高くなる傾向があるため,「トリックルーム」等の補助技の優先度が下がったのかもしれない.
・ウルトラネクロズマが多い
メガ枠を割いてまでパーティに入れるほどでは無いと甘く見ていたが,多くの相手がウルトラネクロズマを採用していた.今大会では,メガジュカインをパーティから抜いてしまっていたため,相手のラスト一匹のウルトラネクロズマを突破できないケースがかなり多くなった.ドラゴン技を搭載したメガジュカインをパーティに登録していれば勝率が1割は増えたのでないだろうか.
・マーシャドーが多い
とにかく多い.ジュカインより素早さの種族値がわずかに優っている上に先制技持ちという強敵である.また、ゴースト・かくとうの複合タイプも優秀である.専用技の「シャドースチール」は相手の有利な能力値の変動を全て奪いさる上に威力が90もあり、一般的な攻撃技と同等のダメージを与えてくるという凶悪さである.
マーシャドー打倒のカギになるのは,特性「かるわざ」と「アクロバット」である.「シャドースチール」が奪い取れるのはあくまで能力値の変動のみであり,「かるわざ」状態による素早さ上昇まで剥奪されないのは大きい.素早さを上げて「アクロバット」,もしくは「くさぶえ」を浴びせてあげよう.
もしくは,メガジュカインなら素早さが勝るので,マーシャドーが「こだわりスカーフ」を持っていない限り先手を打つことは可能である.
・グラスフィールドを使いこなせなかった
「グラスフィールド」を使用して,後続のジュカインが「グラスシード」を発動.「かるわざ」と「グラスシード」の発動により,防御1.5倍.素早さ2倍の状況で「つるぎのまい」を使用して逆転を狙う構想をしていた.しかし,現実問題として「グラスフィールド」を使用する時間すら与えられないことが多く,後続の「グラスシード」を持っているジュカインが機能停止してしまうことが多々あった.
また,「グラスフィールド」状況下の場合,「じしん」等の技の威力が低下する.その仕様を知らずに「グラスフィールド」の状態で相手のヒードランに「じしん」を使用,案の定耐えられて惨敗というガバガバな負け方もしてしまった.
失敗の原因は一つの戦法に固執しすぎたこと.対戦経験の甘さを実感した.
これまでUSHCでの反省点を挙げてきたが,大会に参加したことで良かった点も見つかった.
・襷カウンターは決まりやすい
対戦の記録が残っていないため,正確なデータは取れていないが,体感では襷カウンターの成功率は高かった.第3世代ロムで厳選するユーザーが離れているのか,襷カウンターを読まれることが少なく,気持ちよく決めることができた.
・やりたいようにやれた
USHCに参加するジュカイン統一を考察する際に,悩んだ点があった.メジャーと思われるポケモンへのメタである.『ポケモンバトルレボリューション』の頃に比べてさらにポケモンが増えている状況では,対策を網羅することはほぼ不可能に近いのが現状だろう.
そこで,『せっかくの公式のイベントなのです.そんなガチガチではつまらないでしょう』という気持ちで大会に望むことにした.ということで,「ものまね」を覚えたジュカインを投入した結果,ピクシー統一との『指振り対決』が実現した.「ものまね」が使用できないケースでは,「みがわり」を連打,「がむしゃら」により相手の体力を「でんこうせっか」圏内まで持っていく.完全な自己満足だが,『ポケモンバトルレボリューション』の頃の勢いのあるジュカイン統一と比較して,練度・遊び心の両方を初めて越えることができた.今大会で,筆者自身が全盛期と思っていた頃のジュカイン統一を超えられたような気がしたのは大きな収穫である.
3.種族統一戦
USHCのマッチングの海で出会ってしまった種族統一パ同士の試合について,対戦相手別に感想を述べる.
なお,バトルビデオに関しては時期や状況によって再生できない可能性があることを,あらかじめご了承願いたい.
・ジュカインVSムウマ
勝敗:ジュカイン統一勝利
バトルビデオ:CWQW-WWWW-WWWV-2D84
感想
ムウマ統一の方の生放送中にスナイプしたら当たってしまった (スナイプという単語が少し懐かしくって涙が出てくる) .バトレボの頃からの付き合いのある方なので,お互いなんとなく手の内がバレているのが怖かった.今回は勝利したが,『持ち物が「こだわりスカーフ」のムウマが「れんごく」を連続で決め,後続に「トリックルーム」をされた後,最後の一匹が物理型』という最悪のシナリオであれば,かなり辛い試合になったと思われる.
・ジュカインVSアーケオス
勝敗:アーケオス統一の勝利.
バトルビデオ:4VJG-WWWW-WWWV-2D85
感想
9割は信用しちゃダメ.いいね
リーフストームさえ外さなければ
(スーパーたらればタイム)
真面目な話をすると,「すなあらし」をはじめとした襷潰しが可能であるアーケオスは厄介である.幸い,素早さの種族値が勝っているためやや有利でもある.しかし,お互い基本的に耐久力がないため心臓に悪い試合になることに変わりはない.
・ジュカインVSクロバット
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:Q8JW-WWWW-WWWV-2D8M
感想
正直な話,マッチングした瞬間に降参を考えた.詳細は本誌に掲載されているジュカイン考察論文[2]に記載されているが,ハッキリ言ってジュカイン統一で一番相手にしたくないのがクロバット統一である.
対クロバットの作戦として,まず相手を崩し,ジュカイン側の描く勝ち筋に強引にねじり込む形をとった.
具体的には,一体目,相手側のクロバットが「こだわりスカーフ」では無いことを祈り,スカーフジュカインで「がんせきふうじ」を使用.「がんせきふうじ」の効果でクロバットの素早さを一段下げて退場.これにより,後続のジュカインはほぼ確実に先手を取れる状況となった.続くジュカインも「でんきだま」の「なげつける」を使用後に退場.最後に残ったジュカインに全てをかける流れに持っていった.
一手でも読み間違えていればアウトな状況をクリアして初めてチャンスを得られるという,終始綱渡りのような試合だった.重複催眠のルールがなかったため,「くさぶえ」を連打したことには目をつぶって欲しい.
・ジュカインVSピクシー
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:LPMW-WWWW-WWWN-N6NQ
感想
エンタメ的にはベストバウト.相手が指振りピクシー統一だったため,ジュカインの「ものまね」による指振り合戦が勃発した.「ものまね」を使用できるのが一匹だけなのが悔やまれる.
本対戦のバトルビデオに関しては,筆者がバトルビデオを撮り忘れてしまったため,対戦相手の方にお願いしてアップロードして頂いたコードを記載している.
・ジュカインVSライチュウ
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:PJUW-WWWW-WWWV-2D8U
感想
「Zゆうわく」を使えるジュカインがいないことや,ライチュウが「アンコール」「シグナルビーム」のような技を覚えることから,かき乱される可能性とゴリ押しされる可能性の二つを迫られたのはプレッシャーだった.最後の一匹の持ち物が「いのちのたま」であったのが幸いして,迷いなく動けたのが勝因だった.
・ジュカインVSミルホッグ
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:JEBG-WWWW-WWWV-2D92
感想
「ばくれつパンチ」が活躍した唯一の試合.もちろん,「ばくれつパンチ」はワンチャン作ることに特化しすぎているので必須技ではない.もし「ばくれつパンチ」を使うなら,「つめとぎ」と組み合わせることをお勧めする.
ミルホッグの特性「アナライズ」によるダメージの増加は,ジュカインから見ればやはり無視出来ない.ベストな動きとしては「ドレインパンチ」が欲しい.
・ジュカインVSダストダス
勝敗:ダストダス統一の勝利
バトルビデオ:562G-WWWW-WWWV-2D9G
感想
「くだけるよろい」警戒して「こだわりスカーフ」持ちを入れているつもりが,選出ミスっていたという失態を演じ,某氏に思いっきり叱られた.
ジュカインの弱点である毒タイプの技は,追加効果で毒状態にさせる技が多い.「きあいのタスキ」の貫通やダメージ計算のズレが発生するのは致命的である.
・ジュカインVSメテノ
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:J64G-WWWW-WWWV-2DAW
感想
メテノの特性「リミットシールド」により状態異常が効かない上に「ステルスロック」を撒かれる.「リミットシールド」を解除されるとその時点で負けなので,相手のHP調整に苦労させられた.考えることが多くなると,プレイヤー側にも負荷をかけられるように感じた(褒め言葉).
・ジュカインVSノクタス
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:YNQG-WWWW-WWWV-2D8N
感想
最後の一匹はおそらく「こだわりハチマキ」のはず.「みちづれ」や「カウンター」のようなハイリスクハイリターンな立ち回りのできるポケモンが相手だと楽しい.
汎用性を考えても,確定数を変えられる「ドレインパンチ」が欲しいと感じる試合だった.
・ジュカインVSヌマクロー
勝敗:ジュカイン統一の勝利
バトルビデオ:35XW-WWWW-WWWV-2DA6
感想
大会ラストの45試合目.もう運命感じちゃう.
最期のターンは,「まもる」を使うヌマクローに対して,ジュカインが「Zハードプラント」でダメージを貫通させ一撃で倒すという盛大なものとなった.
圧倒的に有利な相手だったが,種族統一戦ではジャイアントキリングは当たり前のようにしたりされたりするものという持論もあり,未知との遭遇感は全試合一番であった.
4.ジュカイン統一パーティ改善案
USHCに使用したジュカイン統一のデータが残っていないため,改良したジュカイン統一のQRコードを公開する.
お気軽にジュカイン統一で遊んでみて欲しい.そして,気が向いたらで良いので,遊んでみた感想をいただけると幸いである.筆者だけの考えになると,どうしても視野が狭くなりがちになるので,他の人からのノウハウというのは本当に宝物なのである.
ジュカイン統一のQRコード[3]
QRコードを公開したジュカイン統一の改良内容を以下に記載する.
・物理メガジュカインの採用
強力なフィニッシャーとして採用.氷技の餌食になると思い採用を見送ったが,ウルトラネクロズマを始めとしたポケモンへの打点に.
物理メガジュカインの詳細は,本誌に掲載されているジュカイン考察論文[2]のメガジュカインの項を参照していただきたい.
・一部持ち物の変更
「みがわり」「がむしゃら」「かげぶんしん」「ものまね」を習得したジュカインの持ち物を「きあいのハチマキ」から「のんきのおこう」に変更した.
「みがわり」を先制で使用できた場合,基本的に「みがわり」の使用回数分だけ相手の攻撃避けるチャンスが出来上がる.それに対して,「きあいのハチマキ」の場合は一発勝負になってしまう.どちらも運に身を任す形になるが,「のんきのおこう」のほうが試行回数を稼げること,また,想定よりも相手側のZ技の使用が少なかったことから持ち物を変更した.
5.おわりに
USHCのような公式大会は,一年に一度あるかないかのお祭りである.通常のパーティの中に混ざって種族統一で対戦できる機会といのは,今となってはなかなか巡り会えない状態になっている.筆者自身も大会中の短い期間ではあるが,種族統一での対戦を存分に楽しむことができた.反省点等はあるものの,ジュカイン統一を存分に披露できたことが何よりの思い出である.
もしかすると,USHCで種族統一を初めて見た方々もいたかもしれない.同じポケモン六匹で大会に出場するというのは,パーティの相性補完という面では自殺行為と言っても過言ではない.しかし,それを考慮しての工夫が見え隠れしたのではないだろうか.
もし,種族統一という遊び方に少しでも興味を持った方がいるならば,ぜひ門を叩いてみて欲しい.その時は,沼の底から這い上がる一瞬で引きずり込むかもしれない.
難しくはありません!まずは好きなポケモンを三匹集めて特攻!これで良いのです!
あなたの小さな非日常の一つとして,種族統一を嗜んでみるのはいかがだろうか.
最後に,USHCのような種族統一が可能なルールで公式大会を開催していただけたこと,そして,大会で対戦してくれた方々に感謝の意を表する.
参考文献
[1] “ポケモンバトルレボリューション”, 任天堂,http://www.nintendo.co.jp/wii/rpbj/,2006.
[2] nizi,“ジュカイン統一パ考察案”,種族統一学会論文誌Vol.4,pp.61-79,2018.
[3] ジュカイン統一のQRコード,https://3ds.pokemon-gl.com/rentalteam/usum/BT-4E0A-B8C8